素箱は、家にとって必要なもの以外は何もない状態

家の原型というと、どんなものをイメージしますか。
雨をよけるために屋根がかかり、風をよけるために壁がたつ、
人間が外から身を守り、自由に暮らし、休息をとることのできる安全な場所ー
そんなイメージに還元されるのではないでしょうか。

たとえば、想像してみてください。
もしもあなたの家や、街で見かける家々の中が、床や壁に仕切られていなかったとしたら。
扉を開けると、壁と屋根に覆われた、がらんどうの空間が、ただそこにあるのです。
窓からは音もなく光が降り注ぎ、青い空を雲がゆっくりと流れるのが見えます。
それは家の原型であり、素の空間であり、
どんな家にも宿っています。
ただ、この日本で今も建ち続ける家は、
あまりにも要素が多く、取り外しがきかないため
原型から遠い姿になってしまっているのかも知れません。

素箱は、家にとって必要なもの以外は何もない状態―
つまり、家の原型からつくっていくことができるよう設計されています。
何もないから、住む人のイメージを自由に引き出し、 受け入れることができる。
住む人の暮らしが積み重ねられてつくられる家です。