この部屋の壁、取り払うことはできないのかな?
それからこの窓、外から中が見えてしまいそうだし・・・
ドアも、床材も、タイルも、キッチンも、水栓ひとつとっても、もっと自由に選べたらいいのに。
いったい、どうしてこういう家にしたんだろう?
家に対して、こんな疑問や要望を抱いている方は少なくないのではないでしょうか。
また、好きなようにしたくても、規格から外れたとたんオプション扱いになり値段が跳ね上がってしまう、
という話が実際のところ多いようです。
衣食は自由に選択できるようになりましたが、住については、得られる満足と支払う代価のバランスがとれた選択肢は、まだまだ少ないのでしょうか?
「家にとって本当に必要なもの以外はつくらない」。
そう決めることで、質とコスト、両方のバランスがとれた家ができました。
素箱には、本当に必要なもの以外はつくられていません。
素箱にあるのは、「安全で身を守れて、あたたかい巣であること」という、家の原型そのものです。
具体的には、「構造体」、「可変性」、「温熱環境」、「建築家の設計による、あきのこないシンプルなデザイン」です。 必要なもの以外はつくらない代わりに、必要なものについてはどれも良質な素材を採用しています。
それが、素箱の質とコストのバランスを実現した鍵です。
簡素だからこそ、そのひとらしさを大らかに受け入れてくれます。
素箱を仕上げるデザイナーは、住む人自身。
無理することなく、自分のペースで、自分らしい家をつくることができます。
家は今、大きく変わろうとしています。
それは、住み手であるわたしたちのライフスタイルや価値観が多様化してきているからです。
今までは、「自分らしい家」をプロに提案してもらうのが一般的でしたが、これからは、「建築として良質でなにもない空間に、住む人自身がつくっていけること」を、新しい選択肢のひとつとして考えてみてはいかがでしょうか。