建物が完成し、その周囲の外構などがプラスされると、本当の意味での家づくりが完了します。庭や家のまわりに植栽をプランニングするご家庭も多いですが、その中でも、シンボルツリーを取り入れるのが人気です。大きめの樹木が1本、玄関先や中庭などにあると、シンプルな外観に彩りが加わる のです。
そこで、シンボルツリーを取り入れることの魅力や、選び方のポイント、さらに人気のシンボルツリー6選をご紹介します。
目次
シンボルツリーを取り入れる魅力とは?
シンボルツリーとは、自分の家の“シンボル”となる樹木のことを指します 。
シンボルツリーは、外観のアクセントになり、シンプルな家に彩りや個性を加えてくれます。また、敷地の関係で庭を取ることができない場合でも、外構部分に高低差のある植栽やシンボルツリーを植えることで、奥行きを感じられる演出が可能に なります。
さらに、シンボルツリーは月日とともに成長するという楽しみ も。玄関脇や庭、中庭などに植えることで、家族の成長とともに木も大きくなっていきます。シンボルツリーを眺めると、家とともに過ごした年月を感じることができるのも魅力のひとつと言えます。
また、庭や中庭にシンボルツリーを植えると、家の中からでも毎日自然を感じることも 。常緑樹であれば一年を通していつでもグリーンを眺めることができますし、落葉樹を選べば、季節の移ろいをシンボルツリーで感じることができるのです。
シンボルツリーに何の樹木を選ぶかは、その家のご家族の好みで決めるのがいいですが、シンボルツリーとして適している種類と、適していない種類があります。人気の樹木には、それなりの理由がありますので、それを参考に検討してみるのがおすすめです。
シンボルツリーの選び方のポイントは?
シンボルツリーの選び方には、いくつかのポイントがあります。自分たちのライフスタイルや周囲の環境、家のデザインなどに合わせて選んでみましょう 。その際のポイントを3つご紹介します。
常緑樹にするか、落葉樹にするか
シンボルツリーを選ぶ際に、まず大きく分かれるのが、常緑樹にするか、落葉樹にするかということ です。
常緑樹の最大の特徴は、葉っぱが一気に落葉しないこと です。まったく葉っぱが落ちないわけではありませんが、徐々に新しい葉に入れ替わるので、秋から冬の落葉の時期に一気に葉が落ちる落葉樹よりは、お掃除の手間などは圧倒的に楽 と言えます。
また、一年を通して樹姿を楽しめるのも常緑樹の特徴です。葉っぱが落ちないので、目隠しの目的でも重宝されます。
一方で落葉樹は、四季の移ろいが感じられるという点で選ばれる ことが多いです。夏には青々とした新緑が楽しめ、秋になると紅葉し、そして冬には葉が落ちて枯れ姿となり、寒い冬を乗り越えると春の訪れとともに新芽が出てくるなど、四季の移ろいを間近で感じられます。
ただし常緑樹であっても、花や実をつけたり紅葉したりする品種を選べば、十分に季節感を味わうこともできます。シンボルツリーの役割や、どのように楽しみたいのかによって選ぶのもいいですね。
ライフスタイルや周囲の環境に合わせて選んでみる
新築のときに、素敵な樹形のシンボルツリーを植えても、樹木は年月とともに成長していきますので、そのままの形をキープできるわけではありません。それをきれいな状態でキープできないと、かえって家のイメージがマイナスになってしまう ことも。もし、忙しくてこまめに手入れができない、剪定などができないというご家庭であれば、できるだけ手入れが不要な種類を選ぶのもおすすめ です。
成長スピードが早くて、年に数回の剪定が必要なものと、自然に成長させてもきれいな樹形を保つことができるものがあるので、選び方のポイントにも。
また、シンボルツリーを植える場所によっても、適している樹木と適していない樹木があります 。高く育つ樹木を選ぶのであれば、ある程度広さのある場所に植える必要があるのです。さらに、成長スピードの早い樹木は放っておくと、上へ上へと伸びていくので、素人の剪定では手が負えない状況になることも考えられます。自分で剪定が難しいと判断したら、手が届く範囲でこまめに剪定をして高さをキープするか、低木の種類を選ぶといい ですね。
さらに、落葉樹をシンボルツリーに選んだ場合は、落葉の時期になると葉っぱが一気に落ちてしまうので、ある程度の期間は毎日掃き掃除をする必要があります 。中庭など自分の敷地内だけであればまだいいですが、玄関先のシンボルツリーの場合は、前の道路や周囲の家の前に葉っぱが飛んでいき、ご近所さんへ迷惑がかかってしまうことも考えられます。常緑樹であれば、その心配があまりないので、忙しいご家族などにはおすすめです。
家の外観デザインやカラーに合わせて選んでみる
ナチュラル、シンプル、モダン、和風、和モダンなど、家のデザインによっても、似合う樹木があります。専門的な知識も必要になるので、外構をお願いする業者さんに相談してみると、アドバイスをもらうことができます。
また、雑誌やウェブサイトなどで、好みの樹木を自分たちで検討し、それを業者さんに相談してみるのもおすすめです。
シンプルな家にぴったり。人気のシンボルツリー6選
最近ではどんなシンボルツリーが人気でしょうか。シンプルな家やモダンな家、和モダンな家など、比較的どんなデザインにも合わせやすい、常緑樹と落葉樹の人気のシンボルツリーをご紹介します。
小さな葉で爽やかさをプラスできる【シマトネリコ】
<常緑樹、高木、ひなたor日陰OK、花を咲かせる>
シマトネリコは、その丈夫さと洋風の建物との相性のよさから、シンボルツリーとして人気が高い品種 です。建売の戸建て住宅の植栽としても定番で選ばれていることからも、人気の高さが伺えます。
小さな葉っぱと、軽やかで繊細な幹が特徴的で、比較的どんな家にも合わせやすいのも特徴として挙げられます。さらに、葉の数も多く、風に揺れると涼しげな印象も。葉っぱの色が濃緑色なので存在感もあり、雌木は5~6月になると枝先に大きさ3mmほどの小花を咲かせます 。
また、1本の樹木ではなく、複数本の幹をもつ樹形も特徴であり、この樹形を楽しめる種類は数少ないと言えます。寒さにも強く、ひなたでも日陰でも育てやすいので、植物に詳しくないご家庭にもおすすめです。
ただし、シマトネリコは年間50~60cmほどのびるので、年に2回ほどの剪定が必要 になることも覚えておきましょう。
銀葉で個性を出せる【オリーブ】
<常緑樹、中~高木、ひなたが好み、実がつく>
銀色の葉っぱが美しく、シンプルな家のアクセントにぴったりの品種 です。葉っぱ両面のコントラストも楽しめるので、シンプルな外観の家などに個性を加えてくれます。食べられる実をつけるのもオリーブの魅力ですが、実がつくには受粉する必要があるので、違う品種のものを2本以上植える必要があります 。
乾燥にも強く、やせた土地でも力強く育ちます。オリーブは温暖な気候を好むので、日当たりのいい場所に植えるのがおすすめです。生育が早いこともあり、迫力のあるシンボルツリーとして育てたい方には最適な品種 と言えます。オリーブは、ある程度広さのある場所に植えるようにするといいです。
植え付けて間もないオリーブは、あまり剪定の必要はありませんが、成長し始めると、剪定の必要が出てきます。
秋になるとオレンジ色の花と香りが楽しめる【キンモクセイ】
<常緑樹、高木、ひなた~日陰OK、花を咲かせる>
秋になると、どこからともなくいい香りがすることで、キンモクセイという樹木の存在を知った人も多いのではないでしょうか。芳醇な香りを放つ時期には、オレンジ色の小さな花を咲かせます 。香りのある花が楽しみたいという方にはおすすめの樹木ですが、花の時期にはすごく細かな花びらが落ちてしまう ことは覚えておいてください。
常緑樹として、目隠しにも使える品種です。病気にも強く、育てやすいというメリットもあり、さらに、自然に放任していてもいい形の樹形をキープしやすいので、頻繁に剪定などが必要ないこともポイント と言えます。
4〜5月に美しい花を咲かせる【ハナミズキ】
<落葉樹、高木、ひなたが好み、花を咲かせる>
ハナミズキは丈夫で管理しやすいため、街路樹として植えられていることが多い品種です。開花時期の4月中旬から5月中旬にかけては、白や赤、ピンクのかわいらしい花を咲かせるので、花を楽しみたい方にはとくにおすすめ です。花びらに見える部分は「総苞片(そうほうへん)」と呼ばれて、散りにくいことが特徴ですので、比較的長く花を楽しめます。
ハナミズキは放っておくとぐんぐん成長してしまうので、適度に剪定が必要になります。自然樹形なので、傷んだ枝葉や混み合った枝を切り落とす程度に剪定するようにします。
美しい紅葉が目で楽しめる【イロハモミジ】
<落葉樹、小高木~高木、ひなた~日陰OK、花を咲かせる、実がつく>
イロハモミジは、紅葉の時期になると葉が赤くなって落葉する、高木の落葉樹 です。鮮やかに紅葉することで、その鮮やかな赤さには目を奪われる美しさがあり、シンボルツリーとしてとても人気のある品種のひとつです。まるで赤ちゃんの手のような深い切り込みがあり、葉っぱは薄く繊細という特徴も。また、和風の建物にはもちろんありますが、和モダンな家や、シンプルなフォルムの家に合わせても素敵です ね。
紅葉だけではなく、新緑の時期には薄い緑色の葉も美しく、暑い夏には日陰を作ってくれます。また、春には小さな白い花も咲かせることで、一年中楽しめるのも特徴です。
観賞用の小さなリンゴも楽しめる【ヒメリンゴ】
<落葉樹、高木、ひなたが好み、花を咲かせる、実がつく>
ヒメリンゴは、小ぶりのかわいらしいリンゴがなる人気のシンボルツリー です。温暖地でも育てられるため、街路樹や公園の樹木として植えられています。4月中旬〜5月にかけてピンク色の蕾から白い花が咲き、それと同時に葉っぱが出てくるので、グリーンと白、ピンクが同時に楽しめるのも魅力 と言えます。さらに秋になると、真っ赤で小さなリンゴがなるので、一年を通して楽しむことができるのです。実は、小さなりんごの形をしていますが、食用にはならず観賞用として楽しみます 。
建物が完成した後に、シンボルツリーや植栽が加わることで彩りが加わり、より魅力的な外観になります。家のデザインや雰囲気に合わせて、また、自分たちの暮らしや環境に合わせて、ぜひ素敵なシンボルツリーを取り入れてみてください。