家づくりをする際に、「どんな家にしようかな」と考えたとき、まず思い浮かべるのが「リビング」です。リビングはイメージがしやすく、また、その家の顔とも言えます。リビングを含むLDKの広さをどのぐらいにするかも大切ですが、LDKそれぞれをどんなレイアウトにするのかも、家づくりの中では重要な要素に。
LDKは、リビング、ダイニング、キッチンで構成されています。とくに、ワンフロアのLDKの場合は、建物全体の形に関係しますが、一般的には「I型」「L型」「セパレート型」に大きく分かれるのです。
その中でも今回は、「I型」を採用したLDKのメリットやデメリット、さらに、SUHACOの実例を交えて、取り入れ方のコツやポイントをご紹介します。
目次
- 1 縦並びが特徴的な、「I型」のLDKとは
- 2 「I型」LDKのメリットとは
- 3 「I型」LDKのデメリットとは
- 4 「I型」LDKを素敵に見せる、9つの実例とコツ
- 4.1 <実例とコツ その①> 柱などを活かして、空間を自然に仕切る
- 4.2 <実例とコツ その②> 一部分を畳スペースにして、メリハリをつける
- 4.3 <実例とコツ その③> I型の中央に階段を配し、空間を区切る
- 4.4 <実例その④> 造作家具や階段で、空間を区切って使う
- 4.5 <実例その⑤> 段差を設けることで、空間をゆるく仕切る
- 4.6 <実例その⑥> 吹き抜けや床の段差で、立体感を出す
- 4.7 <実例その⑦> 窓の大きさや数を変えて、空間の使い分けを
- 4.8 <実例その⑧> 印象的な照明で、天井高のI型LDKに個性を
- 4.9 <実例その⑨> 天井高の空間を利用して、梁などでメリハリを
- 4.10 関連
縦並びが特徴的な、「I型」のLDKとは
LDKの要素であるリビング・ダイニング・キッチンが縦に長くレイアウトされているのが、I型の特徴です。キッチンをオープンタイプにして、リビング側に向けたレイアウトにすれば、家事や料理をしながら、家族とのコミュニケーションが楽しめます。LDKのどこにいても視線が全体に届くので、家族の存在をいつでも感じることができますね。
「I型」LDKのメリットとは
縦型のレイアウトで、キッチン側からリビングまで視線が抜けているので、面積以上に広く感じることができます。また、キッチンに立った時に、リビング全体を見渡すことができたり、奥行きがあることで開放感が得られるデザインです。
I型のLDKは、「L型」や「セパレート型」に比べるとシンプルな形をしていて、壁の凹凸が少ないのが特徴に。そのため、壁面が広くなり、家具のレイアウトの自由度が高くなるのもメリットのひとつです。
「I型」LDKのデメリットとは
I型LDKの場合、シンプルな形の空間になるので、家具などのレイアウトの自由度は高くなります。しかしそれがかえって、家具の配置などに悩んでしまうという方も。さらに、空間の形がシンプルがゆえに、メリハリがつきにくいという特徴もあるので、なんとなく間延びしてしまうという悩みをもつ方もいます。その場合は、少し大きめのソファやチェストなどで空間を仕切るような配置にしてみたり、LDKの真ん中に階段を設けて、メリハリをつけるのもひとつの手です。注文住宅での家づくりであれば、梁や柱などで空間に変化をつけることも可能になります。
「I型」LDKを素敵に見せる、9つの実例とコツ
空間にメリハリがなかったり、シンプルがゆえにレイアウトに迷ってしまうという声があるI型LDKですが、内装やデザインなどの工夫次第で、その悩みを解決することができます。そこで、SUHACOの実例を挙げながら、デザインのコツをご紹介します。
<実例とコツ その①>
柱などを活かして、空間を自然に仕切る
縦に長いI型のLDKは、奥行きがたっぷりあることで、目線が遠くまで届きます。しかし、細長い空間がスッキリしすぎてしまうと、なんとなくメリハリのない印象になってしまうことも。
そこでこちらのお宅では、内装のデザインに工夫を。たとえば、キッチンとダイニング、ダイニングとリビングの区切りのあたりに、柱や仕切りの壁などをあえてそのまま活かすことで、空間がなんとなく区切られるという効果が期待できます。
また、天井には梁を活かすようなデザインにすることで、天井にも表情をつけ、空間が自然と仕切られていることを感じさせます。天井を照らす間接照明も効果的で、木目が美しく浮かび上がり、飾り梁もより印象的になりますね。
<実例とコツ その②>
一部分を畳スペースにして、メリハリをつける
I型のLDKは、端から端までの床が長く感じられ、なんとなく間延びした印象になってしまいます。その解決のために、床に変化をつけてみるのもおすすめです。たとえばこちらのお宅のように、リビング部分の一部に畳スペースを作ってみるのもアイデアのひとつと言えます。
畳スペースを配置すると、自然とソファなどの配置も決めやすくなるものです。家具のレイアウトに悩みがちな方であれば、このようなアイデアを取り入れてみてはいかがでしょうか。
<実例とコツ その③>
I型の中央に階段を配し、空間を区切る
こちらのお宅では、I型LDKのちょうど真ん中に、一階から二階に上がる階段をレイアウトしています。階段があることで、空間をゆるく区切る役割も果たしますし、生活動線としても無駄な動きがなくなる間取りと言えるのです。
I型LDKのちょうど中央部分は、もちろん壁がないので家具が置きにくく、どうしてもデッドスペースになりがちです。しかし、このような階段を持ってくるレイアウトにすれば、無駄なスペースができませんし、手すりの細いスケルトン階段にすることで空間を邪魔しません。
<実例その④>
造作家具や階段で、空間を区切って使う
I型のこちらのLDKは、壁の仕切りがなくても、造作家具や階段によってスペースがしっかりと分けて使えるような工夫がされています。高さのある仕切りではないので、空間が遮られないのもポイントですね。
さらに、このようなレイアウトにすることで、回廊型になっていることも注目です。ダイニングキッチンで食事をして、キッチンで片付けをし、リビング側に出てくるような動線も考えられます。キッチンからダイニング側にもリビング側にも出られることも、動線の良い間取りと言えるのです。
<実例その⑤>
段差を設けることで、空間をゆるく仕切る
敷地の関係で、細長い形のI型LDKでも、空間にメリハリをつけるための工夫が。キッチン部分を一段下げて、さらに床材をがらりと変えることで、同じ空間でありながらも、奥側のリビング・ダイニングと手前のキッチンとの仕切りができているのです。
さらに、キッチンが一段下がっていることで、キッチンに立っている人と、ダイニングテーブルに座る家族の目線が合うような設計にも。キッチンとダイニングテーブルがひと続きになるように造作されているので、細長いLDKでも空間を無駄なく使うことができています。
<実例その⑥>
吹き抜けや床の段差で、立体感を出す
こちらのお宅は、壁や床、天井に凹凸など変化に富んだデザインに。吹き抜け部分を見上げると、スケルトン階段と上階の壁が抜けていることで、奥行きが感じられて開放感がありますね。
また、キッチン部分の床が一段下がっていたり、柱や造作家具などを配していることで、空間がゆるりと仕切られています。
<実例その⑦>
窓の大きさや数を変えて、空間の使い分けを
奥側には、外の景色が眺められる開放的なダイニングとキッチンがレイアウトされ、一方で手前側は、大きめのハイサイドライトだけを設けて、プライバシーがしっかり守られたリビングルームに。窓の大きさや数、位置などに変化をつけることで、ダイニングキッチンと、リビングが自然に区切られるような工夫がされています。
<実例その⑧>
印象的な照明で、天井高のI型LDKに個性を
天井が高く、箱のようなI型のLDKは、縦方向にも空間にゆとりがあるため、どうしてもがらんとした印象に。そこでこちらのお宅では、印象的な2つの照明を採用し、空間に変化をつけています。さらに、存在感のある飾り梁を取り入れて、メリハリのある空間に仕上げるテクニックも。
I型LDKに沿うように設けられたスケルトン階段があることで、上階とのつながりも感じられますし、階段そのものの造形的な美しさも引き立ち、I型LDKに個性を加えています。
<実例その⑨>
天井高の空間を利用して、梁などでメリハリを
天井高のこちらのI型LDKは、天井の一部が急勾配に。少し個性的な形状に合わせて、存在感のある梁を設けています。シンプルな空間になりがちですが、飾り梁を採用することで、野趣溢れる空間に仕上がっているのです。
さらに、リビングの中央には、琉球畳を設ける大胆なアイデアも。ダイニングとリビングの間の活用しにくい部分にこのようなスペースがあると、お子さんが遊んだり、ちょっとごろんと寝転んだりと、さまざまな使い方が考えられます。
リビングとダイニング、キッチンが縦に並ぶI型のLDKは、家族とのコミュニケーションが取りやすく、目線が遠くまで届くので、面積以上の開放感が得られます。
一方で、空間にメリハリがなかったり、なんとなく間延びしてしまう、家具のレイアウトが難しいなどのデメリットも。そこで、SUHACOの実例とデザインのコツを参考にして、素敵なI型LDKを実現させてみませんか?