【シンプルな家づくり】床暖房で後悔しないために、知っておきたい「温水式」と「電気式」のメリットとデメリット&対策方法

足元からじんわりとあたためてくれて、まるでひなたぼっこをしているような心地よさ。床暖房は、エアコンやヒーターなどの暖房器具にはない、やさしいあたたかさが魅力です。しかし、新築時に床暖房をつけるには、初期費用もかかり、そこそこ大きな買い物ですよね。種類によってのメリットやデメリットも異なります。

そこで、あとから後悔しないために、知っておきたい床暖房のメリットやデメリット、さらに後悔ポイントとその対処法を解説します。

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床暖房の魅力とは

床暖房

エアコンや暖房器具をつけていても、どうしても足元が冷える…。そんな悩みはありませんか?あたたかい空気はどうしても天井方向に上がってしまうため、室温は上がっても、足元が寒いままということはよくあります。そんな悩みを解決してくれるのが、足元からあたためてくれる床暖房。そこで、床暖房を取り入れることで得られる、魅力やメリットをご紹介します。

 

<ホコリが舞い上がらず、乾燥しにくい>

床暖房の魅力のひとつは、エアコンのように温風が出ることがないので、室内のホコリが舞い上がる心配はありません。そのため、喘息やアトピー、花粉などをもつ家族がいたり、小さなお子さんがいるご家庭では安心して使うことができます。

また、床暖房もまったく乾燥しないわけではありませんが、温風を出すほかの暖房器具に比べると、乾燥しづらいと言えます。

 

<こまめなお手入れや掃除の必要がない>

エアコンを清潔に使うためには、フィルター掃除をこまめに行う必要があります。これは、忙しい日々の中では、なかなか手間になってしまいますし、お手入れを怠ってしまうと、健康面でのデメリットも大きいでしょう。その点でも、日常的なお手入れの必要がない床暖房は、忙しい毎日を送られる方に向いている暖房器具と言えます。

 

<寿命が30年以上と長く使える>

一般的な床暖房は、寿命が30年以上と言われていて、実は長寿命の暖房設備。とくに電気式の場合は、建物の寿命が、そのまま床暖房の寿命となり、メンテナンスもフリーです。一方で温水式の場合は、5〜10年に一回は不凍液の全交換が必要になりますので、メンテナンスは必要になります。

 

<小さなお子さんのやけどや事故の心配が少ない>

石油ストーブや電気ヒーターなど、床に置くタイプの暖房器具を使う場合、小さなお子さんが触ってやけどをしてしまう危険があります。そのため、柵やガードを置いたりと、さまざまな対策が必要になるでしょう。床暖房の場合は、お子さんが熱源に直接触れてしまう心配がないので、その点は安心です。

ただし、低温やけどの心配があるのでご注意を。低温やけどは44〜50度程度の、体温より少し高い温度に長時間触れ続けることで発症します。温度設定に気をつけたり、昼寝は床暖房の上ではさせないようにするなど、注意が必要です。

また、ストーブやヒーターなどの場合、コードがあるとそれにつまずいて転ぶ可能性があります。高齢者や小さなお子さんがいるご家庭なら、コードがない方がより安心です。

 

<インテリアがスッキリ見える>

床暖房の最大のメリットは、室内に器具を設置するスペースが必要ないこと。例えばエアコンであれば、壁に取り付けるスペースが必要になり、ファンヒーターやガスストーブであれば床に置くスペースが必要になります。しかし、床暖房の場合は床下に設置するので、設置場所を取る必要ありません。

インテリアをスッキリ見せてシンプルな家づくりを望むのであれば、床暖房を採用してみるのもいいでしょう。

 

<冷え性の家族や高齢者も安心して使える>

足元が冷えやすい家族がいる場合、足元からあたためてくれる床暖房は、冷え性対策にもってこいです。また、足元から部屋全体をムラなくあたためてくれるので、健康によいとされる「頭寒足熱」も実現します。

さらに、トイレや脱衣所など、冬はとくに冷える場所に床暖房を設置すると、ヒートショック対策にも。高齢者がいるご家庭などは、ぜひ検討してみるといいでしょう。

 

知っておきたい、床暖房の種類とは

床暖房
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床暖房には大きく分けて、「温水式」と「電気式」の2種類があります。温水式は外部で作られた温水を配管によって床下に導き、床材を温める方式。一方で電気式は、床材の真下に組み込んだ発熱体もしくは蓄熱体に通電して加熱する方式です。それぞれに、コスト面や暖房効果の立ち上がりのスピードなどに違いがあるので、それぞれのメリットとデメリットを知っておきましょう。

 

【温水式】

石油やガス、電気を熱源として温められた温水を、床下に設置されたパイプに循環させることで、床材を温める方式です。一般的には、水を電気やガスなどで温めますが、寒冷地では温水が不凍液の場合もあります。

 

<温水式のメリット>

温水式床暖房を取り入れることのメリットをご紹介します。

・広い面積に対応できる
温水式は、家の中の複数の部屋に床暖房を設置する場合にも、1つの熱源であたためることができます。広い面積で床暖房を設置したい場合や、複数の部屋に設置したい場合は、温水式がおすすめです。

・ランニングコストが安い傾向にある
電気式の床暖房に比べると、比較的光熱費は安い傾向にあります。電気式の場合は、床暖房をつけている間は常に電気代がかかってしまいます。しかし温水式の場合は、一度にあたためた温水を循環させることで床をあたためるためです。ただし、熱源の種類によってコストは異なります。

・立ち上がりが電気式に比べると早い
床暖房は一般的に、他の暖房器具に比べてあたたまるまでに時間がかかりますが、温水式と電気式で比べると、温水式の方が立ち上がりが早いです。

・床全体の温度が均一になる
床下のパイプを通って、温水が循環する温水式では、部分的に熱くなることがなく、床全体の温度が均一になります。床暖房の上であれば、どこにいても快適で温かく過ごせるのが、温水式のメリットのひとつです。

 

<温水式のデメリット>

・家の屋外に熱電源を設置するスペースが必要になる
・初期費用が高い傾向がある
・定期的なメンテナンスが必要になる

とくにメンテナンスに関しては、日頃のお手入れは必要ないものの、定期的なメンテナンスは必要です。温水式の場合、使用していると水が減ってしまうので、年に一回は不凍液の補充をしてもらいましょう。さらに5〜10年に一回を目安に、不凍液の全交換をする必要があります。

 

【電気式】

次に、電気式床暖房を取り入れることのメリットをご紹介します。

電気式は、電熱線やカーボンフィルム、一定の温度を上回ると自動的に温度調整をしてくれるPTCなどの発熱体を床下に敷く暖房器具です。「蓄熱式」と「非蓄熱式」に分類されます。蓄熱式床暖房は、潜熱蓄熱剤やコンクリートの床に直接熱を蓄えます。これは、夜間に熱を蓄えて、昼間に放熱する方法です。一方で非蓄熱式暖房は、使う時だけ通電します。

 

<電気式のメリット>

電気式床暖房を取り入れることのメリットをご紹介します。

・初期費用が温水式よりもかからない
電気式床暖房の場合、工事の規模があまり大きくならないので、温水式よりも初期費用は安く済みます。温水式の場合は、熱源設備を外部に設置するための工事に加えて、配管などの工事が必要になるからです。

・メンテナンスがほとんど必要ない
電気式床暖房は、床下に発熱体を設置するのですが、これは30年程度の寿命があり、それ以外ではほとんどメンテナンスは必要ありません。交換が必要になるのは、どちらかといえば、フローリングが劣化してしまった場合が多いでしょう。定期的なメンテナンスが必要な温水式よりも、その点では優れていると言えます。

・温水式よりも、設置の自由度が高い
発熱体が薄くて加工しやすいため、施工する床の形状や広さに合わせて、比較的自由に設置することができます。たとえば、トイレや脱衣所など狭い場所に設置するのにも、電気式の方が適しています。

 

<電気式のデメリット>

・温水式に比べて、立ち上がりが遅い
・場所によって、温度ムラが出てしまう
・ランニングコストが高い傾向がある

 

床暖房で後悔するポイントと対策方法

床暖房

床暖房を採用して、実際にどんな後悔ポイントが多いのでしょうか。また、後悔しないための対策法をご紹介します。

 

<後悔ポイントと対策 その1>
スイッチを入れてあたたまるまでに時間がかかった

使っている方なら当たり前に思うかもしれませんが、床暖房はスイッチを入れても、すぐにはあたたまりません。あたたかくなるまでの時間は種類によって異なるので、それに合わせてタイマーを設置しておくのがいいでしょう。朝、起きる1時間前や帰宅時間の1時間前などに、タイマーをオンにしておくと、起きてきた時や帰宅時には心地よく使えるはずです。

また、使ってスイッチをオフにした後も、余熱でしばらくはあたたかさが残ります。寝る前に少し早めに切る、出かける前に早めに切るなど工夫すると、電気代の節約にもなります。

 

<後悔ポイントと対策 その2>
電気代が想像以上に高かった!

新築時に床暖房を取り入れたとしても、実際に暮らしはじめてみないと、どのぐらいの電気代がかかるかは分かりません。思っていたよりも高かったという人もいるでしょう。そこで、できるだけ電気代がかからない方法を実践してみましょう。

スイッチのオン・オフをこまめにせず、とくに電気式の場合は家にいる間は、つけっぱなしの方が電気代を抑えられる可能性があります。室温が低い部屋をあたたまるまでの時間がもっとも、エネルギーを消耗してしまうため、オンオフの数はなるべく抑える方がいいでしょう。

ほかにも、省エネモードを活用する、カーペットや家具を床暖房の上に置かない、窓の断熱対策をするなども有効です。立ち上げまで時間がかかるので、ほかの暖房器具と併用するという方法もあります。

また、電力会社を切り替えて、なるべくその家の使い方に合ったプランにするという手もあります。

 

<後悔ポイントと対策 その3>
意外と使用する期間が短かった

肌寒くなってきて、人が暖房器具をつける温度は15度前後と言われています。自分が住んでいる地域、家を建てようと思っている地域の平均気温を確認して、だいたい使用する期間の目安をつけてみましょう。

たとえば、東北や北海道など寒いエリアであれば、1年の半分は暖房器具を使うというところもあります。1年で6カ月使うのであれば、床暖房を取り入れても後悔は少ないでしょう。逆に、3カ月程度しか使わないということであれば、初期費用が割高に感じるかもしれません。

 

<後悔ポイントと対策 その4>
メンテナンス費がかかることを想定していなかった

新築時にさまざまな設備を取り付けますが、それがどのような頻度でメンテナンスが必要なのか、メンテナンスにどのぐらいの費用がかかるのかを想定することは大切です。メンテナンスについて事前に確認しておかないと、住んだ後に、思いがけない出費があって後悔した…ということにもなりかねません。

電気式の場合は、ほとんどメンテナンスフリーですので、家の寿命と同じと考えていいでしょう。ただし、フローリングが経年劣化してしまった場合は貼り替えが必要になります。

温水式の場合は、温水パネル自体は30年程度と言われていますが、温水を作り出す熱源設備の寿命が10〜30年と言われているので、そこで交換の必要が出てきます。また、不凍液の交換は3〜5年に一度を目安に、費用は3万円程度と言われています。

あらかじめ金額などを知っておくことで、床暖房を取り入れるかどうかも含めて、検討してみるのがいいでしょう。

 

床暖房は、エアコンや床に置くタイプの暖房器具と比べると、新築時やリフォーム時などの初期費用はどうしても高額になってしまいます。しかし、設備の寿命は比較的長く、また他の暖房器具と比べても、安全性が高かったり、フィルター掃除など日々のお手入れの手間が必要ないので、それらのメリットと費用面でのバランスで検討するのがいいでしょう。

そして何より、シンプルな家づくりを求めているのであれば、室内側に暖房器具の設置がまたく必要のない床暖房は、スッキリとしたインテリアには欠かせない暖房器具と言えそうです。

SUHACOの家では、TES温水床暖房を標準装備しています。ぜひ、実際にオープンハウスでご覧になってみてはいかがでしょうか。

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著者情報

秋 慎一郎

秋 慎一郎 監修:一級建築士 秋慎一郎 /L・DESIGN建築設計事務所

「プライバシーの守られた開放的な空間」
「季節の移ろいを感じられる心地良い住まい」
をコンセプトにして、設計活動をしています。
コートハウス(中庭型住宅)の設計を多く手掛け、
「光」や「風」を考慮した、家族と穏やかに過ごせる「住まい」を提案しています。