【シンプルな家づくり】空間に立体感が生まれる、段差のある家のメリットとデメリット

段差のある家とは、数段程度の高さを設けたスキップフロアを取り入れたり、キッチンだけダウンフロアにしたり、ロフトを作って二層のフロアにしたりと、さまざまな間取りのアイデアがあります。単調なフルフラットの家よりも、縦方向の段差があることで、空間に立体感とメリハリが生まれます。また、限られた空間を効率よく使うのにも、段差のある間取りは最適。今回はSUHACOの実例をご紹介しながら、段差のある家のメリットとデメリットを解説します。

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段差のある家、6つのメリットとは

家の中に段差があると、縦方向にデザインの変化が生まれて、空間にメリハリが生まれます。また、高さに変化があることで、奥行きも感じられるでしょう。そのほかにも、段差を設けることによるメリットはさまざま。そのメリットをご紹介します。

 

<段差のある家のメリット その①>
壁がなくても、自然な形で空間を分けることができる

スキップフロアの写真
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1つの空間の中でも、壁を作らずに、段差を利用して空間を自然な形で仕切ることができます。例えばこちらのお宅のように、個室やリビングルームの一角に、数段の段差があるスキップフロアを作り、このような小さなワークスペースを設けるアイデアも。段差があることで、同じ空間ではありながらも、用途を分けられるというメリットがあります。

このようなデザインを利用すれば、狭小住宅などで限られた広さでも、上下の段差を使って個室感覚のスペースを確保することができます。リモートワークをしたり、読書や勉強をしたり、ちょっと昼寝をしたりと、いろいろな用途に使うことができるでしょう。小さな個室が欲しいけれど、空間はできるだけ広く見せたいという場合に最適です。



<段差のある家のメリット その②>
段差があることで、開放感とメリハリが生まれる

段差のある家
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床がフラットな間取りよりも、縦方向に段差があることで、変化に富んだ面白い空間になります。たとえばこちらのお宅は、一階から二階へ階段を上がった先の空間がオープンになっていますね。リビング側から階段方向を眺めると、左側は天井までのシンプルな白い壁、右側は立体的なオープンスペースと、造形的にもユニークに仕上がっています。

また、吹き抜けと二階の空間がつながっていることで上下階のつながりが感じられるでしょう。つながりをもつことで空間に広さが感じられますし、上階の窓からの陽光が取り入れるなどのメリットも期待できます。

 

 

<段差のある家のメリット その③>
ダウンフロアにすると、家族と目線を揃えられる

木の家
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キッチンを一段下げることで、見ている景色も少し変わってきます。実際には、キッチンの床を15〜20センチ程度下げると、キッチンのワークトップの高さと、床面に置かれたダイニングテーブルとの高さが同じぐらいになります。こちらのお宅のキッチンは、造作のダイニングテーブルと組み合わせていて、テーブルで過ごす家族と目線が同じになるようにプランニングされています。これによって、配膳や後片づけがしやすいのはもちろん、調理をしながら家族と会話をするのにも便利です。隣で宿題をしている子どもの様子を見守りながら家事をする、なんてこともできますね。

また床の仕上げを変えることで、壁で仕切らずとも領域の違いが分かるような空間設計になっています。キッチンの床はタイルにすれば、水で床が濡れたり汚れてしまっても、サッと掃除がしやすく、より使い勝手のよいキッチンになるでしょう。

 

 

<段差のある家のメリット その④>
二層フロアにすれば、広さを確保できる

スキップフロア
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狭小住宅など限られた敷地の場合、床面積を増やすのはなかなか難しいものです。そこで、ロフトを設けて1つの空間を上下に区切ることで、床面積を2倍に増やすことができるのです。

たとえばこちらのお宅では、ロフトの下部分はクローゼットとして、上部分は収納場所として活用していて、空間を最大限に有効活用しています。クローゼットや収納であれば、低めの天井でも十分に機能を果たせますし、用途を分けることで片付けもしやすくなっています。

 

 

<段差のある家のメリット その⑤>
上下のつながりができ、採光と風通しがよい家になる

スキップフロア
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縦にのびる吹き抜けを採用し、階段を上った上階部分をフルオープンにすることで、スキップフロアのような空間が実現しています。こちらのお宅はリビングがある一階部分の開口部は少なめですが、上部のハイサイドライトから陽光が差し込むことで、室内はここまで明るくなります。また、風通しのよい空間にもなるでしょう。

このように、二階部分をオープンにして陽光を上から取り込むのは、限られた敷地でプライバシーに配慮しながら、快適に暮らすためのアイデアのひとつ。さらに、壁を区切らずにオープンにすれば、狭小住宅でも想像以上に開放的に暮らすことができるのです。

 


<段差のある家のメリット その⑥>
空間のつながりで、家族の気配を感じることができる


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こちらのお宅では、二階から三階へ上った先の空間を吹き抜けとつなげて、リビングから見えるようにデザイン。こうすることで、家族の気配をいつでも感じることができ、お互いにコミュニケーションを大切にすることができます。また、縦にも横にも視線が通ることで、空間が大きく感じられるでしょう。

上からリビングを見下ろしたり、下から上階の様子を覗いたり……。段差があることで、家族の声が頻繁に行き交う、のびやかな暮らしが実現できます。

 

 

段差のある家のデメリットや注意点とは

スキップフロアやロフトスペース、オープンに開放された二階スペースなど、段差がある空間を間取りに取り入れる場合は、デメリットや注意点もあります。メリットとデメリットをあらかじめ知っておき対策をすることで、理想に近い家づくりが実現します。

 

<デメリット その①>
段差が多くなってしまう

段差のある家のデメリットとしては、やはり家の中に段差が多くなってしまうということ。スキップフロアでは室内に数段の階段があったり、キッチンだけダウンフロアにしていると僅かな段差があるなど、ちょっとした床の高さの違いに注意が必要になります。

とくに、小さなお子さんや高齢の家族がいる場合は注意したいところ。小さなお子さんがいる場合は、階段の前に柵を設けて上り下りが自由にできないようにするなど、対策と工夫が必要になります。また、高齢のご家族と一緒に暮らす可能性があるようなら、段差の多い家は避けたほうがいい場合もあるでしょう。

 

<デメリット その②>
建築費用が高くなることがある

フラットな床のみの家に比べて、場所によって床の高さを変えたり、数段の段差や階段を作ることで、建築費用が多くかかってしまうことがあります。また、ロフトを作るにしても、建築費用はプラスされるでしょう。

それでも、段差を変えることで空間がより広く見えたり、メリハリが生まれたり、床面積を増やすことができるなど、プラスαの効果もあります。どちらのメリットを優先させるのかを検討してみるのもいいでしょう。

 

<デメリット その③>
暖房費がかかってしまうことがある

スキップフロアやロフト、土間玄関など、段差のある家の場合、部屋を壁で区切らずに、空間を大きなまま使えるという特徴があります。そのため、部屋が細かく分かれているご家庭よりも、暖房費がかかってしまうことがあるでしょう。

そのためには、しっかりとした断熱材を選ぶなど、設計・施工の段階で考慮すべきことがあります。また、リビング・ダイニングの上部にシーリングファンなどを取り付けることで、室内の暖かい空気を効果的に循環させることもできます。

 

<デメリット その④>
段差が多いと掃除が大変になることも

段差が多い家は、掃除がしにくく、時間や手間がかかってしまうことがあります。また段差が多いと、お掃除ロボットが使いにくいという不便さもあるでしょう。階段はとくに、埃がたまりやすい場所ですので、その点も注意が必要です。

 

 

段差のある家は、縦方向に変化があり、デザイン面でも印象深い家になります。また、奥行きが生まれることで、広さも感じられるでしょう。さらにロフトスペースのように床面積を増やすことができ、収納場所や個室のようにプラスαの空間を生み出すこともできます。

ただし、段差のある家にはデメリットも。そこで、段差のある家を多く手がけていて、知識と実績のある工務店や設計会社に依頼するというのが賢い方法です。

SUHACOでは、スキップフロアやロフトスペース、ダウンフロアなど、シンプルながらも個性がプラスできる段差のある家のデザインを多く手がけています。ぜひ、オープンハウスで実際にご覧ください。

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著者情報

秋 慎一郎

秋 慎一郎 監修:一級建築士 秋慎一郎 /L・DESIGN建築設計事務所

「プライバシーの守られた開放的な空間」
「季節の移ろいを感じられる心地良い住まい」
をコンセプトにして、設計活動をしています。
コートハウス(中庭型住宅)の設計を多く手掛け、
「光」や「風」を考慮した、家族と穏やかに過ごせる「住まい」を提案しています。