家づくりをする際に、素材のよさにはしっかりこだわりたいものですよね。家の素材には、さまざまなものがありますが、その中でも家を建てるのに重要なのが木材です。柱や梁、フローリング、造作家具などに木材を採用する場合も多く、素材次第で家の雰囲気も変わります。なかでも無垢材は、天然素材ならではのよさや、さまざまな効果が期待できますが、一方で天然ならではのデメリットも 。そこで今回は、無垢材のデメリットと取り入れ方の注意点をご紹介しつつ、それを知った上でも取り入れたい無垢材のよさをお伝えします。
無垢材とは?集成材の違いは何があるの?
無垢材とは、自然の木からそのまま切り出し、加工をしていない木材のこと を指します。一方で、無垢材とよく比べられる資材として集成材がありますが、これは薄い木材を接着剤などで合成した加工品のこと です。集成材は構造材やフローリングとして、一般的に使われています。
無垢材の場合は、丸太からそのまま切り出すので、接着剤などを使っていません。そのため、小さなお子さんがいるご家庭や、健康志向が高い方には積極的に取り入れられています。
ただし、自然素材だからなんとなく体によさそう、健康的な暮らしができそうと気軽に飛びつくのは注意が必要です。無垢材ならではのよさがある一方で、お手入れやメンテナンスが大変だったり、傷つきやすいなどの欠点がある ことも覚えておきましょう。
事前に知っておきたい、無垢材のデメリットとは?
無垢材のメリットは後述しますが、まずは、無垢剤のデメリットを知っておきましょう。事前に知っておけば、後悔しない木材選びができます。
<無垢材のデメリット その①>
一般的に、無垢材はコストが高くなってしまう
無垢材を取り入れるのに一番ネックになるのは、コスト面という方も多いのではないでしょうか 。比較するのは難しいですが、一般的には、無垢材は集成材などに比べるとコストが高くなってしまいます 。1本の木から切り出してそのまま加工するため、大量生産ができず、どうしても価格が高くなってしまうことが理由です。とくに、無垢材を使った一枚板のダイニングテーブルなどは、厚みもあり幅もあるので、非常に高価になってしまいます。
無垢材も集成材も、それぞれのよさや優れている点は一長一短ですので、予算内でおさまるようにバランスを見て取り入れることも大切 です。
さらに、家は長く愛用するものですし、とくに家のフローリングなどは、毎日家族が接するものに。価格はもちろん大きな問題ではありますが、それを上回るよさを感じるのであれば、しっかり検討して取り入れてみることで、より心豊かで満足のいく暮らしが実現できます。
<無垢材のデメリット その②>
お手入れやメンテナンスをしっかり行う必要がある
無垢材はその特性上、水分の吸収率がとても高く、食べこぼした液状の汚れなどがそのままシミになってしまいます 。汚れたまま放置してしまうと、シミはなかなか落ちなくなってしまうので、汚れたらすぐに拭き取りをすることがとても大切 です。
一方で集成材の場合は、表面がコーティングされていることが多いので、水や汚れに強い という面があります。多少放置しても、あとから汚れが落ちやすいので、小さなお子さんのいるご家庭やペットのいるご家庭には最適な場合も。どちらが自分の家族のライフスタイルに合っているかなどを検討してみましょう。
このように、汚れやシミがつきやすい無垢材は、お手入れやメンテナンスをこまめに行う必要があります 。月に1、2回ぐらいは、フローリング全体の水拭きを行うのがベストです。その際に、無垢材は水に弱いので、雑巾をしっかり絞ることが忘れずに。表面がざらついたりベタベタしてきたら、水拭きをするとスッキリします。汚れがひどい時は、中性洗剤を使ってもOKです。
また、年に一度はワックスやオイルでメンテナンスを 。無垢材は冬に乾燥しやすいので、適度に油分を補ってあげるといいです。
<無垢材のデメリット その③>
物を落としてしまうと、フローリングが傷つきやすい
無垢材は、衝撃に弱く、傷つきやすいというデメリットがあります 。とくに、パイン材など材質がやわらかい木材の場合は、物を落としてしまうだけで床に凹みが出てしまうことも。
もし、今子育て中のご家庭や、これからお子さんを育てる予定のご家庭であれば、床が傷ついてしまうことは十分に考えられますので、絶対に傷つけたくないという方には不向きなことも。その場合は、無垢材にナラを選ぶなど、傷つきにくい硬めの木材を選ぶのがおすすめ です。
また、傷ができてしまったら、サンドペーパーなどで木目に沿ってサンディングすると、直せる場合があります 。その後に、オイルを塗っておくのも忘れずに。
<無垢材のデメリット その④>
反りやひび割れ、ささくれができてしまう
実際に暮らしていると、地味に困るのが、ささくれ問題です。無垢材は天然の木材のため、常に呼吸をしていて、膨張したり収縮したりを繰り返しています 。梅雨時など湿気が多い時期は、湿気を吸収することで木が膨らみ膨張しますし、冬の乾燥する時期は木に含まれる水分が放出されて、木が縮むのです。
このような動きをすることで、木が反ったりひび割れを起こしたり、それによってささくれが起きてしまいます 。とくに、冬はささくれが起きやすいのですが、床を歩いていると足にささくれが刺さってしまった…ということも。
このようなことが起きないためにも、ワックスやオイルでこまめにメンテナンスをして、油分を補ってあげることがとても大切 です。
<無垢材のデメリット その⑤>
経年変化が大きく、新築時と雰囲気が変わる
無垢材は経年変化が大きい素材 です。新築時のときの木材の色から、年月を重ねることで、だんだんと変化をしていきます。それが味わいやよさでもあるのですが、最初の木材の色や雰囲気に惹かれて選ぶと、だんだんと印象が変わっていってしまうということも考えられるのです。
変化があることを良さと捉えるかどうかは好みですので、無垢材の場合は経年変化があり、だんだんとどのような色に変化していくのかを知っておくのが大切に なります。
デメリットを知った上で、選びたくなる無垢材のよさとは
これまでは、無垢材のデメリットをご紹介しましたが、それを知った上で、無垢材を選びたいという方も多いものです。その理由には、手入れやメンテナンスなど面倒な部分がある一方で、木の香りや手触りのよさ、温もりが感じられるなど無垢材のよさが上回ると判断したからと言えます。ここでは、簡単にメリットをご紹介します。
<無垢材のメリット その①>
暮らしていると、木の香りを感じることができる
室内に自然の木を使っていることで、木材特有の香りを感じることができます 。よく、木材を取り扱っているお店に入ると、ふわっと木のいい香りを感じることがあるのではないでしょうか。それを、無垢材を使った家でも感じることができるのです。
普段暮らしていると、その香りに慣れていくものですが、数日間家を離れて帰ってくると、その香りを再び感じることができます。
私たちが一般的に「木の香り」と呼んでいるのは、害虫や微生物などの外敵から身を守り、病原菌の感染から防ぐために、木が発している「フィトンチッド」という物質 です。
この「フィトンチッド」は、木材が伐採したあとも続くのが特徴と言われています。この香りには、リラックス効果や除菌・抗菌効果、消臭効果、防虫効果などがあります 。
<無垢材のメリット その②>
木目や節は自然のものなので、表情が豊か
無垢材のよさのひとつが、木目や節などがあることによる、木の表情が楽しめること です。これは、集成材などではなかなか表現できない、無垢材ならではのよさと言えます。木は1本1本すべて違うものであり、同じ模様のものはないので、表情がそれぞれに違ってくるのです。
ただし、「野趣溢れる個性的な木目がいい」とか「あまり主張しすぎないほうがいい」など、木の表情にも家族ごとに好みがあります。木材の種類によって、色や木目、節の具合などは異なるので、好みの無垢材を探してみましょう 。
<無垢材のメリット その③>
夏はサラッと気持ちよく、冬は適温を保てる
無垢材は、裸足で歩いてみたり、ゴロンと寝転んでみると、その質感のよさを存分に感じることができます 。とくに、床に寝転がってみると、ほんのりと木の香りを感じることができ、リラックス効果も期待できるのです。
また、裸足で歩いたときに、冬場などはヒヤッと感じることがありますが、無垢材では、そのヒヤッと感がありません。それは、無垢材は木の内部に多くの空洞があり、そこに空気が詰まっていることが関係しています。この空気の層があることから熱伝導率が低く、無垢床に足裏が触れたときに冷たさを感じづらい のです。
このように、無垢材にはデメリットとメリットがあり、それをどのように捉えるかは人によって変わってきます。「手入れが多少面倒でも、それによってかえって愛着が湧く」と思えたり、逆に、「すごく憧れはあるけれど、子育てや仕事で忙しいライフスタイルには合わなそう」などと、それぞれの家族によって判断に仕方が分かれてきます。
まずは、デメリットとメリットを知った上で、素材をどのように選んでいくかを検討してみましょう。