自然体で暮らせる、シンプルな平屋の家。平屋住宅を知るための5つのポイントとは

最近増えている、シンプルな作りのステキな平屋住宅。あえて平屋が選ばれる理由には、ワンフロアで暮らすことの心地よさや生活動線のコンパクトさなど、多くのメリットがあるからのようです。ただし、そこには注意すべきデメリットも。平屋住宅を検討する前に、ぜひ知っておきたい5つのポイントをご紹介します。
 

いま、若い世代にも平屋住宅が注目されている理由とは


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ワンフロアで暮らしが完結する平屋の家は、夫婦2人など少人数で暮らすシニア世代が選ぶというイメージが強いかもしれません。しかし最近では、平屋独特のシンプルなフォルムが広い世代に好まれたり、生活動線がコンパクトで効率がいいなどのメリットが注目され、あえて郊外の広めの土地に平屋を建てる若い世代のファミリーも少しずつ増えているようです。

平屋の最大の魅力といえば、ワンフロアであることで、家族の気配をいつでも感じていられること。これは、子育て世代の家族にとっても、大きなメリットと言えそうです。とくに、これから小さなお子さんを育てていくのであれば、階段がないことで落下などの事故を防ぐことができる、遊んでいる様子をいつでも見守ることができる、さらに庭との距離が近いことで、自然の近くでのびのびと子育てをすることができるなど、さまざまな魅力があるのです。


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また、共働きの夫婦にとっても、平屋を選ぶことで大きなメリットを得ることができます。それは、生活動線をコンパクトにできるため、家事をなるべく効率的にこなすことができ、時間も短縮することができるのです。たとえば、キッチン・洗面所・バスルームなどの水まわりを1箇所にまとめれば、家事の動線をシンプルにすることができます。料理をしながら洗濯機を回して、さっと洗濯物を干す……。二階建てや三階建てでは、洗濯物を干すだけでも大変なことですが、それを効率よくこなすことができます。

このように、子育て中や共働きの若い世代にも、平屋にすることでのメリットがたくさんありそうです。
 

事前に知っておくべき、平屋住宅のメリットとデメリット


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シニア世代はもちろん、若い世代にも注目されはじめている平屋住宅ですが、ほかにもどんなメリットがあるのでしょうか。
 
<平屋の家のメリット>
・フロアがひと続きだから、家族との距離が縮まりコミュニケーションが取りやすい
・生活動線がシンプルだから、家事がしやすい
・屋外に出やすいので、自然を身近に感じられる
・階段の行き来が必要ないので、小さなお子さんやお年寄りのいるご家庭では安心
・ワンフロアで安定感があり、台風や地震に強い
・構造が安定しているので、大空間にしたり、大きな開口部を設けられる
・将来的に、車椅子などでの暮らしになった時も暮らしやすい
・大々的な足場を組む必要がなく、修繕費用を安く済ませることができる

メリットがある反面、もちろん注意点もあります。平屋住宅は、2階建てや3階建ての家とは大きく異なり、居住スペースがすべて1階にありますので、そのことでのデメリットもしっかり考慮しておく必要があります。
 
<平屋の家のデメリット>
・ある程度広さのある土地が必要になる
・坪単価が高くなってしまうことがある
・防犯面で注意や配慮が必要になる
・居住スペースがすべて1階になるため、プライバシーの確保が難しい
・住宅密集地では、周囲の住宅からの視線が気になってしまう
 
 

平屋住宅の形状は、大きく4つのタイプに分かれる!


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<I型>
建物がシンプルな横長の形をしている「I型」。この形状のメリットは、東西に長く配置することで、南向きの面を広く使うことができ、ここに大開口の窓を設けることができます。そのため、室内に陽光を取り入れやすく、明るく開放的な家が実現できます。形状がシンプルな分、建築費用も抑えることができます。
 
<ロ型>
I型とは少し違って、真四角に近いような形状の家です。このタイプは、大空間のリビングルームなどを作りやすく、逆に個室が作りにくいなどの特徴があります。夫婦だけの暮らしなど、より人数が少ない場合に選ばれるようです。
 
<L字型>
建物をL字型にすることで、一部窪んだスペースを庭として使うことができます。ここに植栽などを植えれば、周囲からの視線を遮ることも。庭に向けて開口部を設ければ、陽光もしっかり取り入れられ、さらに風通しも良い家になります。
 
<コの字型>
コの字型は、もっともプライバシーに配慮した形状の住宅です。コの字の窪んだ部分はプライベートな庭になり、そこから採光と通風も確保できます。この庭を囲むように個室などを作ることができ、どの部屋からもアクセスできるなどのメリットもあります。またこのタイプは、都市部の住宅密集地などで平屋を建てる場合に、ぜひ取り入れたいデザイン。ただし、コの字型の家は壁や窓の面積が増えてしまうので、建築費用が高くなる傾向があります。

土地の形状や広さ、そしてどんな間取りにするかによっても、建物の形状は変わってきます。何に重きを置くのかをしっかりと検討した上で、どんなデザインにするのかを検討するようにしましょう。
 

優雅な勾配天井の演出で、驚くほどの開放感も!


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平屋はもちろんワンフロアですから、天井の形状が上階によって左右されることがありません。そのため、平屋は吹き抜けでなくても、天井を高くすることができ、意外にも開放的なリビングルームにすることができるのです。

たとえばこちらのお宅では、ゆるく勾配がついた天井で、高さもしっかり確保し、大空間リビングが実現。ところどころにハイサイドライトを効果的に採用し、そこから外のグリーンが見えたり、空が見えたりと、室内にいながらも外の気配を楽しむことができます。このような楽しみ方も、平屋ならではなのです。
 

平屋住宅は外観にこだわれば、住宅街で目を引く存在に!


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平屋住宅は、その家の“顔”とも言われる外観で個性を出すことができます。その形状の特性上、シンプルなフォルムになることが多く、それがかえって住宅街の中でも目を引く存在になります。

平屋の家はシンプルだからこそ、そのフォルムや外壁の質感が際立ちます。真っ白の外壁にすれば、青空にキリッと映える印象的な住宅になるでしょう。逆に、真っ黒の外観にすれば、クールで無機質な印象にも。箱型の家だったり、片流れのデザインだったりと、屋根の形状でも、家の印象は大きく変わります。

どんなイメージの家にしたいのか、通り側の開口部をどうするかなどによって、仕上がりのデザインは変わってくるでしょう。つまり、平屋の家は自分たちの希望の形を表現しやすい住宅とも言えそうです。

 
 
平屋住宅には、家族の気配をいつでも感じながら暮らすことができ、さらに生活動線がコンパクトにできるなど、2階建てや3階建て住宅にはない魅力があります。それは、世代を問わずに、家族にとっての大きなメリットとなるもの。ただし、後々後悔しないためには、注意点やデメリットもしっかり知っておきましょう。家族との時間を大切に育むことができる平屋住宅を、ぜひ家づくりの選択肢に入れてみてくださいね。
 
文/内田あり

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著者情報

秋 慎一郎

秋 慎一郎 監修:一級建築士 秋慎一郎 /L・DESIGN建築設計事務所

「プライバシーの守られた開放的な空間」
「季節の移ろいを感じられる心地良い住まい」
をコンセプトにして、設計活動をしています。
コートハウス(中庭型住宅)の設計を多く手掛け、
「光」や「風」を考慮した、家族と穏やかに過ごせる「住まい」を提案しています。