「中庭のある家」と聞くと、ゆとりのある素敵な暮らしを想像しませんか? 建物の内部にオープンスペースがあることで、手軽にガーデニングが楽しめたり、青空の下でヨガやストレッチができたりと、室内とは違った使い方ができます。でも、いざ中庭のある家を作ろうと思っても、どんな間取りにするのがいいのか、手入れなどが大変なのでは…と、迷ってしまうご家庭も多いかもしれません。そこで、中庭のある家のメリットとデメリットとともに、素敵な中庭のある家の実例集をご紹介します。
目次
中庭を作ることの役割と、そのメリットとは
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中庭とは、建築物などで周囲を囲まれた、屋根のないオープンスペースのことを言います。たとえば、家の中央に設けられたアトリウムや、複数の建物に囲まれている共有のオープンスペース、和風の家に見られる坪庭など、さまざまなスタイルの中庭があります。
中庭には、大きく分けてふたつの役割があります。ひとつは、中庭を設けることで、建物の外側でなく、内側に開口部を作ることができ、プライバシーを守りながら光や風を家の中に取り込むことができること。
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たとえば、こちらのお宅では、リビングルームの大きな開口部の上にハイサイドライトを設けて、気持ち良い陽光を確保。通りに面したリビングルームでは、プライバシーの問題でこのような窓の取り方はなかなか実現できませんが、中庭に面したリビングルームを間取りに取り入れれば、こんな大胆なデザインが可能に。プライバシーをしっかり確保できていれば、お天気のよい日は窓をオープンにしておく、なんて使い方もできます。
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家族のプライベート空間である洗面やバスルームが中庭に面している間取りにすることで、大きな開口部を作ることができ、こんなに明るく解放的な雰囲気になります。どうしても暗くなりがちなバスルームも、家族が気持ちよく使える明るい空間に大変身。天気のいい日には窓を解放しておき、風通しをよくできるなどメリットも大きいでしょう。
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もうひとつの役割は、家族のコミュニケーションの場として活用できることです。たとえば、リビングルームと中庭をひと続きにした間取りにして、フローリングとデッキの素材や色を合わせれば、中庭を第二のリビングとして使うことができます。開口部をフルオープンにできれば、たくさんの人を招いてのホームパーティーにも活用できそうですね。
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お子さんのいるご家庭であれば、周囲を壁や建物で囲まれた中庭で安全に遊ばせることもできます。キッチンやリビングから目の届く場所に中庭を配置すれば、家事をしながら、子どもたちの様子を見守ることも。
中庭を間取りに取り入れることで、ブランチやバーベキューをしたり、DIYを楽しんだり、ヨガやストレッチをするなど、素敵な中庭ライフが実現できます。通りに面したデッキなどでは、外部からの視線が気になってしまうこともありますが、中庭であれば建物や壁に囲まれているので、そんな心配もありません。
生活動線を考えた、暮らしやすい間取りにする
中庭をプランニングする際に重要なるが、生活しやすい間取りにすることです。中庭を設けることで採光や風通しが確保できたとしても、逆に生活しにくい間取りになってしまっては残念ですよね。たとえば、家の真ん中に中庭がある間取りの場合に、キッチンとダイニングが離れてしまったり、寝室とバスルームが離れてしまうようでは、移動距離が大きくなってしまうことに。間取りを考える場合は、生活動線をしっかり考慮するようにしましょう。
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また、家の中央に中庭を配置した間取りにすることで、家を自然な形で二つのエリアに分けることができ、かえって暮らしやすい家になることもあります。たとえば、二世帯住宅の場合は、中庭を中心に親世帯と子世帯の居住エリアを自然に分けるなどの効果も。中庭がコミュニケーションの場所になり、適度な距離を保つこともできます。
もしくは、来客のあるリビングルームやダイニングルームと、完全に家族のためだけのプライベートなエリアで分けるのもアイデア。頻繁に来客のあるご家庭であれば、そんな間取りもおすすめです。
都市部の住宅など、住宅密集地こそ中庭を活用
都市部などの住宅密集地で家を建築する場合に、どうしても問題になるのが、採光の問題と、周囲の住宅や通りからのプライバシーの確保です。そんな住宅環境で活躍するのが、中庭の存在。
建物の真ん中、もしくは一部に、建物や壁で囲まれた中庭を間取りに取り入れることで、家の内側に開口部を設けることができ、上からの日差しを家の中に取り込むことができます。また、建物の外側にはなるべく開口部を設けず、中庭側に開口部を集中させることで、プライバシーをしっかり確保することも。外部からの騒音も気にならないなどの効果も期待できます。
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住宅密集地のエリアであれば、ある程度限られた敷地面積での家づくりになるかもしれません。その中で中庭を作る場合は、ちょっとした工夫が必要。たとえば、こちらのお宅のように、植栽を植えて坪庭風にしてみるのもアイデアのひとつです。吹き抜けは一部にして、天井をメッシュ素材にすることで、その上の二階部分はデッキとして使えて、階下には光と風が届くようになっています。このように、限られた空間でも快適な中庭を作ることができます。
中庭を間取りに取り入れる際の注意点とは
家づくりで中庭を設ける場合には、いくつかの注意点があります。基本的には、設計を依頼する設計会社や建築士さんに相談するのがベストですが、自分たちでもしっかり知っておくことで、失敗するリスクを減らすことができます。
<1>生活スペースとのバランスを考える
敷地の広さにもよりますが、中庭を間取りに設ける場合には、ある程度のスペースを取ることになります。その分、生活するスペースが狭くなることになりますので、そのバランスをよく考える必要があります。もし、生活のスペースが十分に取れない場合は、無理に中庭を作るのではなく、小さな坪庭などを取り入れたり、また違った方法で採光や風通しを確保できるような間取りにしましょう。
<2>建築費用が高くなる場合もある
中庭を設けることで、建物の角が増えたり、外壁の面積が増えてしまい、建築物としての形は複雑になります。そうなると、必然的に建築費用が高くなる傾向に。また、中庭に設置する照明や排水設備なども費用として必要になってきます。その点をしっかり考えながら、中庭を間取りに取り入れるかどうかを検討しましょう。
<3>掃除や手入れが必要になる
中庭は定期的に掃除をしたり、メンテナンスをしなければ、だんだんと汚れてきてしまい、快適な空間をキープすることはできません。その手間が必要になることも、しっかり考えておきましょう。また、台風や暴風などでシンボルツリーの葉が落ちたり、外からの飛来物があると、それが中庭の隅などに溜まってしまうこともあります。これらをまめに取らないと、排水が詰まってしまうなどのトラブルも。ベランダやデッキなどと同じように、定期的なお手入れが必要になります。
<4>断熱性能が落ちてしまう可能性も
中庭を設けることで、開口部を大きく取ることができるのがメリットではありますが、その分、窓が大きく数も多いことで、断熱性能が落ちてしまう可能性があります。断熱対策などをしっかりする必要があるので、施工会社に相談するようにしましょう。
<5>熱や湿気がたまりやすい
四方が建物で囲まれる中庭の場合はとくに、設計次第では、熱や湿気がたまりやすい環境になってしまうことがあります。夏は暑くなったり、風が通り抜けないなどのトラブルが起きないように、窓の位置や室外機の設置場所などは施工会社としっかり相談しましょう。このような失敗をしないためにも、中庭のある家をなるべく多く取り扱っている設計会社やメーカーに相談するのがベストです。
中庭のステキな活用方法や実例集をチェック!
中庭のある暮らしを楽しんでいるお宅をご紹介します。家づくりや中庭作りの参考にしてみましょう。
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広々とした中庭に、大きなシンボルツリーが印象的なこちらのお宅。常緑樹を植えれば、いつでもグリーンが楽しめますし、落葉樹であれば四季折々の表情が感じられます。また、大きな樹木を植えることで、家の中でも木陰を楽しむことも。読書をしたり、ごろりと昼寝をしたり、ストレッチやヨガをしたりと、中庭は家族思い思いの時間が過ごせる、第二のリビングとなります。
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イスとテーブルと置けば、中庭の使い勝手はぐんと広がります。週末にはここでブランチをしてもいいですし、お茶を飲みながらゆっくり読書を楽しむのもいいでしょう。完全に壁で囲むのではなく、適度な開口部を設ければ、風通しもよく、熱や湿気を逃がしてくれる効果もあります。コンクリート打ちっぱなしで無機質になりがちな空間には、爽やかにグリーンがお似合いです。
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細長い敷地を生かして、キッチンからダイニング、リビングルーム、中庭、そして個室と続く、個性的な間取り。このように視界が先へ先へと広がることで、家族が家のどこにいても、お互いの気配を感じることができます。お子さんが小さい頃は、中庭で遊んでいる姿をキッチンから眺められるのもいいですね。
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限られた敷地では、中庭を設けて、部屋を広く見せるなどの効果も期待できます。ただのデッキにするのではなく、壁で囲まれた中庭にすることで、まるでリビングルームが中庭の壁まであるように錯覚し、実際のリビングルームより広く感じられます。中庭の壁の一部を開講することで、通りのグリーンが絵画のようにも楽しめますね。
中庭のある暮らしは、限られた住宅環境の中でも、プライバシーをしっかり守りながら、光と風通しを確保することができます。さらに、家族のコミュニケーションの場所になったり、家族それぞれがゆっくり過ごす第二のリビングにも。中庭を上手に活用するためには、デメリットがあることを知っておき、それを踏まえた上で間取りに取り入れることが大切です。SUHACOでは、中庭のある家の建築実績を生かしながら、中庭を上手に取り入れた家のご提案をしています。
文/内田あり