耐震性に優れたSE構法での家づくりのために、知っておきたいメリットと実例集

家族が快適に安心して暮らすためには、間取りやデザインももちろん大切ですが、それ以上にしっかりと検討したいのが家の建築方法のこと。今、日本は首都直下型地震や南海トラフ沖地震など、大規模地震がいつ起こるかわからないような状況にあります。そこで、これからの家づくりで注目したいのが「SE構法」。地震に強い家を建てることは、これからの家づくりには欠かせない要素です。ここでは、「SE構法」とはどんな家なのか、またそのメリットやデメリットなどをご紹介。さらに、実際にどんな間取りやデザインの家が建てられているのか、実例で見ていきましょう。
 

SE構法で建てられた重量木骨とはどんな家?

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木造の構造技術はここ近年で大きく進化し、体育館や幼稚園、商業施設など大規模な建築物でも木造で建てられるようになりました。鉄骨コンクリート造や鉄筋コンクリート造などの建物に比べて、木造は環境への負荷が小さく、また何と言っても、木の温もりが感じられるのも魅力でしょう。このようなメリットが再認識されつつあることも、木造建築が増えている要因のひとつかもしれません。

このような大規模な木造建築で使用される技術を、住宅にも応用したのが「SE構法」です。「SE」とは、Safety Engineeringの略で、工学的に安全な工法という意味。このSE構法で建てられた家が「重量木骨の家」です。
 
「SE構法」には、以下のような特徴があります。
 
<SE構法の特徴①>
強度や品質が確かな「構造用集成材」を使用

SE構法の家では、構造躯体に使用する木材すべてに、強度や品質に優れた「構造用集成材」を使用しています。一般的に使用される木材は、乾燥度合いや強度がバラバラで、品質が安定しないケースがほとんどでした。しかし、この「構造用集成材」は、十分に乾燥させて、さらに強度ごとに分類され、品質的にも安心できる材料を使用しています。
 
<SE構法の特徴②>
木造の接合部に金物を使い強度を高める

一般的な在来木造工法では、柱と梁をつなげる部分に「ほぞ」と呼ばれる穴加工を施して接続する方法を用います。しかし、神社仏閣などの太い柱と違って、住宅で使われるサイズの柱では、穴加工で大きくくり抜かれてしまい、強度不足が問題視されています。SE構法では、木材の接続部に小さな穴を空け、「SE金物」を使用して接合。これによって、柱が大きくくり抜かれることもありません。建物のねじれを防ぎ、構造全体で力を受け止めて、地震に耐えうる強靭なフレームを作っています。
 
<SE構法の特徴②>
ビルやマンションと同様に構造計算を行う

SE構法の大きな特徴のひとつに、構造計算があります。ビルやマンションなどの鉄骨や鉄筋コンクリートの設計では、法律で構造計算が義務付けられています。しかし、木造住宅では構造計算が義務化されていないので、ほとんど行われません。SE構法では、ビルやマンションと同様に地盤強度を含めた構造計算を行うため、強度と耐久性、安全性がデータによって証明されているのです。

SE構法は、科学的な数値できちんと裏付けされた最先端の構造技術。1995年に発生した阪神淡路大震災をきっかけに開発が進みました。その後に起こった中越地震や東日本大震災、熊本地震では、SE構法で建てられた家は一軒も倒壊していないのです。
 

SE構法で建てられた家の強みやメリットとは

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SE構法で建てられた重量木骨の家は、どんな強みやメリットがあるのでしょうか。


<SE構法のメリット1>

耐震性に優れていて、揺れも少なく安心

一般的な木造住宅の構法で耐震性を高めようとすると、柱と壁のほかに、「筋交い」というつっかえ棒が必要になります。そうなると、間取りの自由度はどうしても低くなってしまいます。また、地震に強いと言われる重量鉄骨造では、柱と梁が強固に接合されている「ラーメン構造」によって耐震性を高めています。つまり、家の中に柱や壁が少なくても、地震に強い家となります。

一方でSE構法では、接合部に特殊な「SE金物」を使い、さらに強度が高い耐力壁をバランスよく配置することで、木造建築でありながらもラーメン構造と同じような強さを持つことが可能になっています。

また、地震の揺れに対しても、SE構法では接合部の耐力と木造軸の柔軟性があり、地震にしなやかなに耐えるという特徴があります。また、鉄骨造と比較すると建物の重さが軽いため、地震の際の揺れが小さくなるメリットもあります。


<SE構法のメリット2>

リビングルームなど、大空間が実現できる

一般的な木造住宅の構法では、耐震性を高めるために「筋交い」をバランスよく配置することが必要になります。しかし、これによってどうしても必要な柱や壁が多く出てきてしまい、間取りの自由度も低く、比較的閉鎖的になりがち。大空間の間取りを実現するのは難しいというデメリットがあります。

一方でSE構法では、「SE金物」で接合することで、構造上必要な柱や壁が少なくても耐震性の高い空間を作ることができます。つまり、木造住宅でも、ワンフロアの大空間や天井高の吹き抜けが実現できるのです。この強みを生かして、耐震性に優れていながら、かつ自由度の高い木造住宅を建てることができます。


<SE構法のメリット3>

家族の変化に合わせて、間取りのリフォームがしやすい

SE構法は、骨組み全体で建物を支える構造になっているので、柱や間仕切り壁を少なくすることができます。そのために開放的な大空間を作ることができるのですが、それと同時に、空間を仕切って部屋を作ることができたりと、自由に間取りを編集することができます。この利点を生かすことで、家族のライフスタイルの変化に合わせて、最初は大きな空間で間取りをプランニングし、将来的には仕切りを作って個室を設けるなど、フレキシブルに変えることができます。変わらない基本構造(スケルトン)と、自由に変えられる内装・設備(インフィル)を分ける、「スケルトン+インフィル」と呼ばれる設計の考え方です。
 
 

SE構法の家づくりにおけるデメリットとは

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強みやメリットがある一方で、デメリットもあります。それを考慮した上で、SE構法での家づくりを検討してみましょう。
 
<デメリットその1>
一般の木造住宅よりも建築コストがかかる

SE構法最大のデメリットは、一般の木造住宅に比べると、建築コストが高くかかってしまうことです。躯体工事の費用が、1坪あたり2〜3万円ほど高くなります。ただし、耐震性の高いSE構法を採用することで、耐震等級が取得しやすく、地震保険料の割引が受けられます。つまり、多少建築コストがかかっても、割引が受けられることで、割高感も少なくなるでしょう。
 
<デメリットその2>
依頼できる工務店や設計会社が限られる

SE構法で家を建てる場合、建築を依頼できる工務店が限られます。というのも、SE構法は1995年以降に開発され、まだ20数年しか実績がないからです。このため、SE構法で依頼ができる工務店には限りがあるのです。

しかし、インターネットなどを活用すれば、SE構法での家づくりができる工務店や設計会社探しは比較的簡単にできます。その中で、自分たちの理想に近いを家を建ててくれる会社を見つけるといいでしょう。

 

SE構法だからこそ実現できた、家づくり実例集

SE構法では、実際にどんな家が建てられているのでしょうか。木造でありながら、間取りの自由度が高いSE構法の家だからこそ実現できた、素敵な重量木骨の家をご紹介します。
 
<実例その1>
柱も仕切りもない、ワンフロアのリビングルーム

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構造的に必要な柱や壁が少なく、それでいて耐震性の高い空間が実現できるのがSE構法の大きな特徴。これによって、邪魔な柱や仕切りがない、ワンフロアのリビングルームが実現します。見通しがよく、広々とした空間が楽しめます。
 
<実例その2>
開放感抜群の、明るい吹き抜け空間

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一般的な木造住宅では、二階や三階の床は構造的にとても重要な意味を持ちます。そのため、大きな吹き抜けを実現するのはなかなか難しいもの。一方でSE構法では、大きな吹き抜け空間のある間取りでしっかりと構造計算をすることで、安心して暮らすことができる吹き抜けの家をプランニングできるのです。
 
<実例その3>
暖かな日差しが差し込む、壁一面の大開口

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壁一面を大開口にすると、当然ですがその部分の壁の面積は少なくなります。一般的な木造住宅でこのような大開口を設けると、耐震性能が弱くなってしまうので、現実的に難しくなります。そこでSE構法のラーメン構造であれば、柱や壁が少なくても耐震性は保たれるので、このような壁一面の大開口が実現できます。
 
<実例その4>
将来のことも考えた、フレキシブルな間取り

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お子さんが小さいうちは、壁の仕切りを設けずに空間を大きく使うことで、家族の様子をいつでも感じることができます。お子さんが大きくなり個室が必要になったら、壁を設けて部屋を作るなど、家の間取りを自由に変えることができます。
 
<実例その5>
家全体にひとつの空間になる、スキップフロア

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スキップフロアは、構造的に少々難易度の高い設計です。一般的な木造住宅では、構造上の安全性を検証するのは難しいですが、構造計算を行うSE構法であれば、しっかりと検証を行い、その結果に合わせて部材や金物を決めることができます。つまり、木造建築でも、複雑なスキップフロアが実現するのです。
 
<実例その6>
構造計算で安心の屋上ルーフバルコニー

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構造計算をしない木造住宅では、屋根材以上に重量がかかるような想定していません。一方でSE構法の場合は、屋上のルーフバルコニーを間取りに取り入れた場合に、重量がかかることを想定して構造設計をしますので、ルーフバルコニーを設置するのも安心です。
 
<実例その7>
趣味も楽しめる、憧れのビルトインガレージ

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駐車場代が高い都市部では、敷地を有効に活用するために、1階部分にビルトインガレージを設けているお宅も増えています。一般的な在来木造では、耐震上必要な壁があり、なかなかビルトインガレージを実現させるのは難しい場合も。

SE構法であれば、ラーメン構造の強みを生かして、耐震上問題なく安全なビルトインガレージが実現できるでしょう。ガレージ内の柱や壁をなくすこともできるので、広々としたガレージで愛車を眺めて楽しめたり、整備や洗車をすることもできます。
 
 
ワンフロアのリビングルームが実現できたり、吹き抜けや大開口を設けられるなど、間取りの自由度が高ければ、自分たちの理想に近い家づくりが実現できるはず。それでいて、耐震性にも優れていれば、長く安心して暮らすことができます。その両方を兼ね備えたのが、SE構法で作られた重量木骨の家。メリットやデメリットを考慮しながら、ぜひSE構法での家づくり検討してみてください。

文/内田あり