デザイン重視なら、設計事務所での家づくりを。理想を形にしてくれる、会社選びのコツとは

これまでの家づくりでは、決められた間取りのものを購入するか、プロに提案してもらうのが一般的でした。ところが近年、ライフスタイルや価値観が多様化してきたり、インターネットやSNSなどでさまざまな情報が行き交うなかで、好みのデザインを選択し、自分たちのライフスタイルに合わせた間取りを希望している人が増えているようです。

そこで、家づくりのスタートとなるのが、設計や施工を依頼する会社選び。この選び方によって、どんなデザインの家が完成するのかが変わってくるでしょう。そこで今回は、理想的な家づくりのための会社選びのコツをご紹介します。
 

ハウスメーカーと設計事務所、工務店の特徴とメリット、デメリット

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家を建てるのに、どこの会社に依頼するのかは重要なポイントです。メーカーや会社によって、設計やデザインの傾向はもちろん、対応できる内容などが異なります。そして何より、大事な家づくりをおまかせするわけですから、信頼関係なども大切になってきます。そこで、会社選びをする際に、知っておきたいポイントをご紹介します。

家の建築を依頼できる会社は、大きく分けて3つあります。それぞれに特徴があり、またメリットやデメリットが異なるので、それを踏まえて依頼する会社を選ぶようにしましょう。
 
<ハウスメーカー>
CMや雑誌、ネットなどの広告、または住宅展示場で見かける、全国規模で展開している設計施工会社のこと。ほかにも、地域に密着した中規模メーカーも含まれます。規格内で建てる場合は高いコストパフォーマンスが得られますが、規格外になると建築コストが上がってしまい、割高感があります。間取りやデザインの自由度は低めですが、完成もイメージしやすく、またブランド力があるので安心感が得られます。

【メリット】
・大手ハウスメーカーの場合はブランド力があることで、安心感がある
・坪単価が出ているので、おおよその建築費用が出てわかりやすい
・住宅展示場などで、モデルハウスを見て決めることができる
・建築実績の数が多い
・倒産するなどの心配が少ない
・全国どこでも一定の品質が保たれている
・入居後の保証やメンテナンスなどが整ってる
・住宅ローンのサポートが充実していて、ローンが組みやすい

【デメリット】
・基本プランが用意されていて、デザインや間取りの自由度が低い
・選ぶハウスメーカーによるが、坪単価は比較的高め
・プラン外の選択肢が選べない場合や、選べても割高になってしまう
・狭小住宅や旗竿地など特殊な土地に建てる場合、建築費が高くなってしまう
・モデルハウスはサイズが大きい場合が多く、実際の家のイメージが湧きにくい
・入居後に必要になる外壁塗装などのメンテナンス費は高い傾向がある
 
<設計事務所>
間取りやデザインを一からプランニングする、注文住宅を依頼することができる設計会社のこと。自分たちのライフスタイルに合った間取りや、こだわりのデザインを実現してくれます。また、確かな設計力で、狭小住宅や旗竿地などの特殊なケースでも柔軟に対応してくれるでしょう。設計事務所のメリットとしては、設計と施工が別会社で行うところ。設計事務所は施工の監理業務を行うので、欠陥住宅などのチェックをしてくれます。

【メリット】
・設計を一から行うので、理想通りの家づくりができる
・敷地の特徴や依頼人の好みに合わせた家づくりができる
・デザイン性の高い家を設計できる
・設計と施工が別の会社のため、しっかりとした監理チェックができる
・自分たちだけのオンリーワンの家を作ることができる
・構造の種類を選ぶことができる場合もある
・外国製やアンティークなど、自分たちで見つけた設備をつけてもらうことができる
・入居前のオープンハウスなどで実際に家を見ることができる場合もある

【デメリット】
・一から設計する注文住宅のため、建築費用が高くなる傾向がある
・モデルルームがない場合も多く、完成後のイメージが湧きにくい
・工期が長くかかる場合が多い
・地域に根付いて展開しているので、建築できるエリアが限られる
・住宅ローンなどの手続きは自分たちで行う必要がある
 
<工務店>
設計と施工両方を請け負ってくれる、数名から数十名の小規模会社のこと。いわゆる、昔ながらの大工さんが所属している会社です。設計に関しては、自社で設計士が行う場合と、提携している建築士に依頼する場合があります。地元に根付いた会社のため、その地域の気候や特性に合わせた家づくりができます。

【メリット】
・管理コストが安いため、コストパフォーマンスが高い
・地元密着型なので、その土地の気候や特性にあわせた家づくりができる
・デザインや間取り、構造などの自由度が高い
・地元の会社のため、何かあればすぐに駆けつけてくれる
・工務店と銀行は協働関係にあり、ローンが組みやすい

【デメリット】
・工務店によって品質が一定ではないので、しっかり見極める必要がある
・入居後のメンテナンス費用が高くかかる場合がある
・設計と施工が同じ会社のため、施工の監理チェック機能がない
・倒産のリスクがある

このように、それぞれにメリットやデメリットがあります。家族のライフスタイルに合わせた間取りやデザインの家づくりがしたいのであれば、設計事務所や工務店での家づくりがおすすめです。
 

自分に合った設計事務所と出合うために、やっておきたい4つのこと

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納得のいく会社選びをするためには、家づくりに関するアンテナを張って、さまざまな情報を集めることからはじめましょう。そのために、家づくりを検討しはじめたら、ぜひやっておきたい4つのことをご紹介します。
 
<その1>
オープンハウスや住宅展示場を見学する

家づくりの方向性を決めたり、自分たちに合った会社選びをするためには、実際にたくさんの家を見てみましょう。そこで、なるべく多くの情報を収集することで、その中から自分たちの好みの要素を少しずつ探していきます。

住宅展示場の家は、どうしても敷地や床面積も大きく、豪華に建てられている場合がほとんどです。そこで、入居前の家で行われるオープンハウスなどにも積極的に足を運ぶのもおすすめです。家のサイズ感や標準プランの設備、デザインのテイストなど、オープンハウスで確認するのがベストです。
 
<その2>
雑誌やインターネットで理想の家を探す

どんな家を作りたいかをイメージするのに、もっとも手軽な方法が、雑誌を見たり、インターネットで検索することです。圧倒的な情報量と検索のしやすさで、最近ではインターネットでの会社探しをする人も多いでしょう。気になるキーワード検索をすれば、すぐに目的のページを開いて情報を得ることができます。その会社が施工した、施工例の写真を見るのもいいでしょう。

雑誌であれば、住宅雑誌やインテリア雑誌などがいろいろな種類の本が書店に並んでいます。雑誌には、モダン・スタイリッシュ・シンプル・ナチュラル・カントリー・アンティークなど、それぞれにテイストがあるので、自分の好みに合わせて選んでみるのもいいでしょう。地域別の設計事務所や工務店を紹介している雑誌も多く販売されているので、それを活用するのもおすすめです。
 
<その3>
SNSを上手に活用する

「Instagram」や「Pinterest」、「RoomClip」などのSNSを活用すると、さらに幅広く情報収集をすることができます。たとえば「Instagram」では、「家づくり」「家づくりアイデア」「インテリア」「注文住宅」「マイホーム」など、気になるハッシュタグで検索をしてみましょう。デザインやインテリアにこだわった家を見ることができたり、実際に家づくりをした人の経験談や失敗談などを知ることができます。SNSでは、よりリアルな声を聞くことができるのも特徴のひとつ。また、設計事務所や工務店の公式アカウントもあるので、会社選びに活用するのもおすすめです。

SNSで気に入ったインテリアやデザイン、外観などを見つけたら、保存しておいたり、スクリーンショットを撮っておきます。実際に家づくりのヒヤリングがはじまったら、担当者へイメージを伝えるのに、このようなスクリーンショットも有効です。
 
<その4>
住宅街などを散歩して、好みの家を見つける

家づくりをしはじめると、自然と“家”へのアンテナがピンと張るものです。たとえば、散歩がてら、自分好みの家を探してみたり、休みの日にはドライブをしながら住宅街を巡ってみるのもいいですね。「このポストがかわいいな」「玄関の雰囲気が好みかも」と、全体のデザインだけでなく、ピンポイントなアイデアを見つけて、家づくりの参考にしてみるのもおすすめです。

 

設計事務所に依頼する、基本的な手順とは

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設計事務所を例にして、問い合わせから完成までの大まかな流れを、ひと通り把握しておきましょう。ハウスメーカーや工務店の場合も、ざっくりとした流れは同じ。手順や流れを知っておくことで、よりスムーズにやりとりができるでしょう。
 
<1>問い合わせ
インターネットの「お問い合わせフォーム」やメール、電話などで問い合わせをします。大手のハウスメーカーなら、モデルルームを訪問するのもOK。オープンハウスの場合は、予約が必要な場合がほとんどです。
 
<2>ヒヤリング
本格的に家づくりをはじめる段階になったら、対面でのヒヤリング(現在は、オンラインなども活用されています)を行い、どんな家づくりがしたいのか、今現在はどんな暮らしをしているのかなどを担当者と話します。
 
<3>提案・基本計画
ヒヤリングの内容や、敷地の特徴、予算などをもとに、設計事務所側から図面や模型などでプランが提案されます。これに対して、依頼者側の希望を伝えることもできます。間取りやデザインが決まるまでは、このやりとりが何度も行われます。この期間は2〜3ヶ月かかります。
 
<4>契約
基本計画がまとまると契約となります。
 
<5>実施設計
素材や設備など、具体的な部分を決定していきます。
 
<6>工事見積・工事契約
施工会社を選定して、見積もりを依頼。予算との兼ね合いなどで施工会社が決定します。
 
<7>着工・監理業務
工事がはじまったら、設計通りに工事が進んでいるのかの工事監理をします。
 
<8>竣工・引き渡し
完了検査等を実施して、外構工事の監理を行います。施工会社から引き渡しが行われます。

 

設計事務所とのやりとりで注意すべきこととは

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これからの家づくりでは、家族のライフスタイルに合わせて家を作るという考え方が主流になっていきます。そうなると、今まで以上に積極的に、家づくりに関わっていくのが理想的。そういった意味でも、家づくりが一からでき、自分たちで探してきた設備などを取り入れてもらえる設計事務所での家づくりが最適と言えそうです。

そこで、設計事務所とのやりとりを後悔しないものにするために、気をつけたいポイントをご紹介します。
 
<ポイント①>
設計担当者にすべてをおまかせするのではなく、積極的に参加する
 
<ポイント②>
自分たちのイメージや希望をしっかりと伝えるようにする
 
<ポイント③>
納得いくまで、設計者との打ち合わせを重ねる
 
<ポイント④>
予算との兼ね合いもあるので、すべてが希望通りにはいかないことは理解しておく
 
<ポイント⑤>
聞きたいこと、質問があったら、うやむやにせずに打ち合わせの度に解決する
 
家の完成までは、長ければ1年近くかかる場合もあり、また入居後も設計事務所との付き合いは続くでしょう。そのためにも、自分たちが安心して依頼ができそうだなと感じられ、スムーズなやりとりができるということが一番です。問い合わせの段階や、何度か打ち合わせをする中で、この会社ならおまかせできそうという感覚も大切にしたいですね。
 
家づくりは、一生に一度の大きな買い物であり、自分たちの暮らしについて真剣に考える貴重な時間となるでしょう。だからこそ、すべてを会社まかせにするのではなく、自分たちで積極的に情報収集をしたり、希望のデザインを思い描いてみましょう。そのためにも、理想の家づくりができる会社選びは、重要な第一歩。設計事務所であれば、デザインにもしっかりとこだわり、また自分たちのライフスタイルに合った間取りを提案してもらうことが可能です。

SUHACOでは、コンセプトハウスを予約制でオープンしていますので、ぜひ足を運んでみてください。
 
文/内田あり

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著者情報

秋 慎一郎

秋 慎一郎 監修:一級建築士 秋慎一郎 /L・DESIGN建築設計事務所

「プライバシーの守られた開放的な空間」
「季節の移ろいを感じられる心地良い住まい」
をコンセプトにして、設計活動をしています。
コートハウス(中庭型住宅)の設計を多く手掛け、
「光」や「風」を考慮した、家族と穏やかに過ごせる「住まい」を提案しています。