後悔しないコートハウスづくりのために、事前に知っておきたい6つのポイント

中庭があるコートハウスでの暮らしは、誰もが憧れるもの。でも、中庭があれば、すべての家がステキな家になるというわけではありません。せっかく中庭を作っても、デザインによっては使いにくくなってしまったり、あまり活用できないということも。そこで、中庭のあるコートハウスで後悔しないために、よくある失敗例とポイントをご紹介します。
 

コロナ禍でも注目!プライベートな外空間があるコートハウスとは


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コートハウスとは、間取りの中に中庭やパティオを取り入れた家のこと。中庭が建物でぐるりと囲まれていたり、もしくは建物の一部と高い塀で囲まれていたりと、プライバシーがしっかり守られた外空間が家の内側にあるのが、一番の特徴です。ほかにも、中庭を設けることで上からの日差しを室内にうまく取り込んだり、外からの風をうまく家の中で循環させるなど、コートハウスにはさまざまなアイデアや工夫が見られます。

コートハウスはそもそも、ギリシャやイスラム圏の国々、そしてヨーロッパの都市部などで、昔からよく見られる住宅スタイル。日本では、京都の町屋もこのスタイルを取り入れた住宅といわれています。コロナ禍で思いきり外に出かけられない状況の中で、コートハウスのような中庭のある暮らしが、あらためて注目されているのです。

コートハウスには、プライベートな外空間があるということ以外にも、さまざまなメリットがあります。

<コートハウスのメリット>
・外空間でありながら、プラベートな時間が楽しめる
・中庭に向かって開口を設けることで、室内が明るくなる
・気兼ねなく窓をオープンにできて、風通しが確保できる
・アウトドアリビングとして、さまざまな活用ができる
・防犯面でも安心感がある
・洗濯物を干すのも、近所の目が気にならない
・子どもやペットを安心して遊ばせることができる
・コロナ禍において、家にいながらに外遊びができる
 

コートハウスを建てる前に、知っておきたい6つの失敗例


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コートハウスにはさまざまなメリットがある一方で、もちろんデメリットもあります。中庭のある間取りのコートハウスは、よくある一般的な間取りとはだいぶ違ってきますので、誰にとってもメリットが多いとは言い切れないのです。

そこで、コートハウスをプランニングする前に、ぜひ知っておきたい、よくある失敗例を6つご紹介します。
 

<失敗例その1>
日照時間が短く、中庭にほとんど出なくなってしまった…

 
家の中のどの位置に中庭を持ってくるのかによって、中庭や室内に日差しが入る時間帯や長さが変わってきます。もし、あまり陽が当たらない場所に中庭を作ってしまうと、いつも暗い印象の中庭になってしまうことも。また冬場などはとくに、冷え冷えとした空間になってしまう場合もあります。

せっかく中庭を作るのであれば、なるべく日差しがあたる位置にすることで、中庭に出る回数も増えるでしょう。お子さんが遊んだり、ストレッチやヨガ、アウトドアなど、アクティブに使う目的があるなら、なおさら日当たりは大切です。


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【失敗しないポイント!】
中庭の位置は、設計士さんとよく相談して間取りを決めることが大切です。太陽が当たりやすい方角だけではなく、周囲の建物との関係性も大切になってくるので、設計会社の担当者や設計士さんにも立ち会ってもらい、その土地の特徴なども事前に調べておきましょう。
 

<失敗例その2>
中庭を作ったことで、居住スペースが小さくなってしまった…

 
中庭を作るには、ある程度の広さのスペースを確保することが必要になります。たとえば、ひと部屋分以上の広さをもつ中庭を作るためには、居住スペースがその分削られてしまうということです。中庭のあるコートハウスのデザインに憧れて設計したけれど、その分、リビングルームなどが狭くなってしまったり、個室をひと部屋諦めた…というケースもあるでしょう。


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【失敗しないポイント!】
土地に余裕があればあまり問題ありませんが、都市部など限られた土地での家づくりであれば、自分たちにとってどちらが必要なのかを慎重に考えてみる必要があります。基本的には、室内の居住スペースを優先に考えましょう。ただし、建物に囲まれた中庭から陽光を確保するアイデアは、敷地が狭く、外に向かって開口部を設けられない都市部の狭小住宅こそ、取り入れたい建築方法なのです。
 

<失敗例その3>
隣家の窓との位置関係で失敗した…

 
中庭に向かって大きな開口部を設けられるというメリットがある反面、中庭の位置や塀の高さやデザインによっては、隣家からの視線がバッティングしてしまった!という失敗もあるでしょう。また、通りからの視線にも注意が必要です。建物の真ん中に中庭に作る場合はあまり心配はありませんが、建物の角などに中庭を設けるコの字型やL字型で中庭を作った場合は、特に注意が必要です。


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【失敗しないポイント!】
せっかくプライベートな空間として楽しもうと思っていたのに、隣家や通りからの視線が気になってしまうようでは、途端に使いにくく、気軽に出にくい場所になってしまいます。日当たりなどの環境を踏まえて間取りのプランニングをするのと同じように、周囲からの目線にも気にして位置やデザインなどを考えましょう。また、壁の高さなども設計士さんなどと相談して、周囲の建物との関係性にも注意します。壁で仕切るだけでなく、植栽で自然に目隠しをしたり、メッシュ素材などを活用することもできます。
 

<失敗例その4>
いまいち活用しづらく、中庭に出なくなってしまった…

 
入居直後はこまめに出ていた中庭も、月日が経つにつれて、いつの間にかほとんど使わない空間に…。せっかく中庭を作ったのに、そんな結末ではもったいないですよね。さらに、人が使わなくなると、キレイな空間をキープするのは難しくなってしまいます。


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【失敗しないポイント!】
そうならないためにも、中庭のあるコートハウスにするか、中庭は作らない間取りにするのかは、プランニングの段階でしっかり検討しておきましょう。ただ、「中庭のある家に憧れているから」だったり、「中庭のある雰囲気が素敵だから」という理由で建てるのではなく、「自分たちの家に中庭があったら、どんな使い方をするだろうか」「どのぐらいの頻度なら、中庭の掃除ができるか」などを、具体的にイメージしておくことが重要です。
 

<失敗例その5>
風が強い日の後は掃除が大変になる…

 
台風や風の強い日の後は、植栽の葉っぱや飛来物などが飛んできて、中庭にゴミが溜まってしまうことがあります。また、海の近くであれば潮っぽくなったり、近くにグラウンドなどがあると埃っぽくなったり、中庭に埃や汚れが溜まってしまうことも。中庭でも定期的には掃除が必要であり、とくに荒れた天候の後は掃除も大変になります。掃除などがまめにできる生活であるかどうかも、コートハウスを検討する上で考慮しましょう。


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【失敗しないポイント!】
あまりこまめに掃除ができないようなら、中庭のスペースを小さめにするという手もあります。また、中庭には窓や床などをサッと水洗いができるように、水場を設置するのがおすすめです。水場があることで、掃除もしやすいですし、中庭自体の使い勝手もグンと上がります。さらに、長く中庭を楽しめるように、定期的なメンテナンスも行いましょう。
 

<失敗例その6>
思った以上に建築費用がかかってしまった…

 
中庭のあるコートハウスの家を建てるには、中庭を作らない場合よりも、建築費用は多くかかる場合がほとんどです。中庭を建物の中心、もしくは建物の一部分に配置することで、家の形が複雑になり、建物の角や壁が増えてしまうことが原因です。また、開口部も中庭に向かって大きく取る場合もあるので、それもひとつの要因です。


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【失敗しないポイント!】
家を建てる際に、中庭を設けるか設けないかは、予算との兼ね合いで考えてみるのもひとつ。建築費が多少上がってでも、中庭のメリットの方に魅力を感じるようであれば、コートハウスには価格以上にさまざまなよさがあります。また、自由度の高い注文住宅での家づくりであれば、他の部分で予算を少し削って中庭と作る、ということもできるでしょう。

 

中庭があるコートハウスは、中庭を作らないシンプルな間取りよりも建築費が高くなったり、居住スペースが少し狭くなったりといったデメリットもあります。また、定期的に掃除をしたり、メンテナンスをするなど、多少手間がかかる場合も。ただし、これらのデメリットよりも、中庭にあるコートハウスでの暮らしの方に魅力を感じるようであれば、ぜひ、コートハウスを検討してみてはいかがでしょうか。

SUHACOでは、コートハウスを数多く設計・建築していますので、さまざまなノウハウをご提案できます。まずは実際に、オープンハウスで体感してみてください。
 
文/内田あり

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著者情報

秋 慎一郎

秋 慎一郎 監修:一級建築士 秋慎一郎 /L・DESIGN建築設計事務所

「プライバシーの守られた開放的な空間」
「季節の移ろいを感じられる心地良い住まい」
をコンセプトにして、設計活動をしています。
コートハウス(中庭型住宅)の設計を多く手掛け、
「光」や「風」を考慮した、家族と穏やかに過ごせる「住まい」を提案しています。