ロフトは空間を有効活用できるだけではなく、二層に分かれることで立体感が生まれ、デザイン的にも面白みが加わります。さらに、ロフトスペースはちょっとした小部屋感覚で使えて、大人も子どももワクワクするような家になるはず。そこで、ロフトスペースを作る際の条件や、取り入れることによってのメリットとデメリットをご紹介します。
ロフトとは?基本的な条件を知っておこう
間取りの中にロフトを取り入れる場合、建築基準法で決められている条件があります。家づくりの前に、まずは基本的なロフトの条件を確認しておきましょう。
ロフトの面積は、その階の床面積の1/2未満であること
ロフトの床面積を決めるときに、好き勝手な広さで作ることはできません。例えば、ロフトが1階部分にある場合は、1階の床面積の1/2未満までの面積にする 必要があります。また、ロフトの床面積が、その階の床面積に対して1/8を超える場合は、構造強度のために構造強度のために壁を増やさなければいけない とされています。
ロフトは法定床面積に含まれないため、固定資産税の課税対象面積にも含まれないメリットがあるからです。ロフトを作ることで、税金面でもおトクになり、さらに、収納できるスペースが確保することができるのです。
ロフトの天井が、最大で1.4m以下であること
ロフトには高さ制限があります。もっとも高い部分でも、1.4mまでと建築基準法で決まっています 。大人の場合は立ち上がると天井に頭をぶつけてしまうぐらいの高さですが、収納場所としてだったり、ちょっと昼寝をするような部屋にするなど、用途次第では便利に使える空間になります。また、背の低い子どもにとっては、十分に遊べる空間として使えるでしょう。
ロフトへの階段は、固定式か取り外し式に
ロフトへ上がる階段は、固定タイプの階段と、取り外しタイプの階段やはしごがあります 。固定されている階段は、上り下りがしやすく、大きな荷物を持って上がりやすいメリットがありますが、コストがかかってしまったり、室内に階段分のスペースが取られてしまうなどのデメリットも。
一方で、取り外し可能な階段やはしごは、コストも安く済み、普段は外しておけば場所も取りません。ただし、小さなお子さんや高齢の方などは上り下りがしにくかったり、大きな荷物を運ぶのが大変などのデメリットがあるでしょう。
また、ロフト階段は自治体によって条件が異なります。 自治体によっては、ロフトへ上がる階段は取り外し可能なはしごに限るとされている地域も。プランニングの段階で、建築家や設計士さんと相談して決めるようにしましょう。
ロフトを間取りに取り入れるメリットとは
では実際に、家にロフトを作ることで、どんなメリットがあるのでしょうか。ロフトのメリットやよさを知ることで、自分の家に取り入れるべきかどうかを検討してみましょう。
<メリット その①>
ロフトで空間を二層にし、室内を有効活用ができる
狭小住宅では、限りある面積、空間の中で、それをいかに有効に活用できるかがポイントになります。限られた面積の中では、どうしても居住スペースが優先になってしまうので、収納などが少なくなってしまうことも多いでしょう。そんな時に、ロフトを作って空間を二層にすれば、下は居住スペースとして、ロフトは収納場所として、同じ面積でも2つの役割を担うことができます。
ロフトには1.4m以下という高さ制限がありますが、収納として使うのであればあまり問題はないでしょう。本棚などを造り付けであらかじめ作っておくと、普段はあまり読まない本や図鑑などの収納場所としても重宝 します。
<メリット その②>
隠れ家のような空間で、ワクワクする家になる
大きくて広々とした家は誰もが憧れるものですが、集中したい時や、ちょっと1人でゆっくりしたい時などは、小さなお籠もりスペースが重宝 します。ロフトは、そんな役割の空間にぴったり。
ロフトに小さなデスクを置いて勉強したり、ゴロンと横になって読書や昼寝をしたり、リモートワークをするのにも最適です。
お子さんのいるご家庭なら、ロフトが秘密基地になったり、遊び場になることもあるでしょう。小さな空間ではあるものの、家族と距離を置けるロフトスペースは、大人にとっても、子どもにとっても、ちょっと特別な空間になる ものです。
<メリット その③>
空間に立体感が生まれ、メリハリがつく
ロフトがなく、ワンフロアのみの空間は、平面的に広がりが感じられます。一方で、上部にロフトがある空間の場合、上にも目線が行き、上部への広がりと、ロフト奥への広がりが生まれ、空間がより広く感じられる効果 があります。
大空間リビングの場合、何もないだだっ広いリビングでは、ちょっと面白みのない空間に。そこにロフトを作ることで空間に立体感が生まれ、メリハリのあるリビングルームが実現 します。
ただ壁だけが続く家よりも、ロフトのような空間が存在して、その奥が隠れて見えないようになっていると、初めてその家に訪れた人は、その仕掛けにワクワクするものです。そんなことを意識しながら、家づくりをしてみるのもまた面白いものです。
<メリット その④>
ロフトは床面積に入らないため、節税にもつながる
ロフト部分は、建築基準法で定められている条件を満たしていれば、法定床面積には入らないため、税金がかかりません 。つまり、税金面でおトクでありながら、同じ床面積の中でも使えるスペースを増やすことができるのです。これは、狭小住宅ではぜひ取り入れたい、家づくりのアイデアのひとつです。
ロフトを作るためには、予算として50万円〜100万円ほどかかる と言われていますが、収納場所を確保するためだったり、趣味の場所として活用するなど明確な目的があれば、決して高すぎる買い物ではないかもしれません。
<メリット その⑤>
リモートワークや趣味が楽しめる空間になる
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ロフトスペースは、家族ごとに楽しみ方や使い方がさまざまにあります。読書や裁縫、ハンドメイドなど、座って黙々と作業をする趣味であれば、ロフトスペースを作業部屋にするのもおすすめです。
ロフトは下の居住スペースと同じ空間にありながら、高さがあることで、家族に邪魔されることなく、作業だけに集中できる貴重な場所 になります。狭小住宅などで、書斎や自分だけの個室が作れない場合にも、ロフトスペースを活用するのもいいでしょう。
プランニング前に知っておきたい、ロフトのデメリットとは
ロフトを取り入れることには、多少のデメリットもあります。ただし、それを把握した上で、使い方などを検討したり、取り入れ方を工夫すれば、ロフトを有効的に使うことができるでしょう。そこで、デメリットもチェックしておきましょう。
<デメリット①>
高さに制限があるので、歩いて移動できない
ロフトにはいくつか制限がありますが、やはり一番困るのは高さ制限。大人の場合は、いつものように歩いて移動することはできません。そのため、あまり奥行きがあったり、細長かったりと、移動距離があって広すぎるロフトを作ると、かえって使いにくくなってしまいます。適度な広さ、適度な距離で移動できる空間にすると、使い勝手もいい でしょう。
<デメリット②>
ロフト階段の形状によっては、使いにくくなることも
ロフト階段をどのようなタイプにするかは、プランニングの段階で悩まれるご家庭が多いものです。取り外しタイプのはしごにした場合、上るとき以外は取り外した状態ですが、設置するだけでもなかなか手間がかかることもあります。そのため、だんだんとロフトに上がる回数が減ってくる、というケースも。収納のためだけの空間にするのであればそれで十分ですが、もし、他の目的も考えているなら、固定タイプの階段にする方がいいでしょう。
<デメリット③>
空調が効きにくく、夏は非常に暑くなる
ロフトにはエアコンなどを設置することはあまりないことも多く、室温のコントロールがなかなかできません。とくに、夏場は温度の高い空気が上昇することで、ロフト部分がとても暑いなることがあります。逆に、冬場はとても暖かいので、居心地の良い場所になるかもしれません。
もし、趣味のスペースなどに使う場合は、エアコンの設置も検討してみるといいでしょう。また、ロフトに窓を設けると、換気をすることができ、また光を取り入れることもできます。
<デメリット④>
小さなお子さんや高齢の家族には危険な要素も
ロフトを作ることは、メインの階段とは別に、もう一つ階段を設置して、空間を作るようなものです。階段もメイン階段とは違い簡易的なデザインの場合が多いので、上り下りにも危険が伴います。また、ロフトと下の空間と間に手すりなどをしっかり設けないと、落下の恐れもあります。小さなお子さんがいるご家庭なら、できれば、取り外しできる階段にして、安全面を優先にしましょう。
逆に、自分たちが今後、シニアになっていくことも考えると、取り外しできるはしごよりも、ある程度安全性の高い、固定式の階段を設けるのもおすすめです。
ロフトを取り入れることにはデメリットもいくつかありますが、取り入れ方や工夫次第で解決できますので、ぜひ、自分の家にとって必要かどうかを検討してみましょう。
ロフトを取り入れることで、税金がかかることなく床面積を広げることができ、家の中で使える空間が広がります。そのため、収納場所を確保できたり、ちょっとした書斎やリモートスペース、趣味の場所など、自分だけの小さな空間を作ることもできます。
また機能面だけではなく、デザイン面でもメリットが大きいのも、ロフトのよいところ。ロフトがあることで、空間にメリハリが生まれ、面白みのある家になります。住んでいる人にとっても、また初めて訪れた人にとっても、秘密基地のような場所があることで、いるだけでワクワクするような家になるでしょう。