コンセントの位置や数で後悔しないために、知っておきたい失敗例と対策|空間別に気をつけたいポイントとは

生活をする中で、意外と大切なのが、コンセントの位置や数。ついつい後回しにされがちですが、生活をする上では、とても重要な決めごとです。そして、数が多ければいいというものでもなく、必要な場所に、必要な数を設置できていることが大切。でも、はじめて家づくりの場合は、何をどうしていいか迷ってしまうことも多いですよね。

そこで、コンセントの位置や数で失敗しがちなケースと対策、また、空間ごとに気をつけたいポイントを紹介します。

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知っておきたい、失敗しがちなケースとは

コンセントの写真

家ができあがって暮らしはじめてから、コンセントの位置が悪かったり、数が足りなかったり…。一度コンセントを設置してしまうと、そう簡単には変えることは難しいものです。でも、どこにどのぐらいの数のコンセントを設置すればいいか、はじめての家づくりでは分かりませんよね。そこでまずは、失敗しがちなケースと、その対策を知っておきましょう。

 

<失敗するケース その1>
欲しい場所にコンセントがない

いつもパソコンで作業をする場所にコンセントがない…、ソファで座りながらスマホの充電ができない…など。コンセントが欲しかったり、必要な場所にないと、地味にストレスになってしまいます。その場合に、延長コードを使っているご家庭も多いですが、コードが見えるとスッキリとはいきません。

そうならないためにも、コンセントの配置を考える際には、どこにどんな家具を置くのか、また、必ず家電製品を使う場所はどこなのかを、しっかりイメージしてみることが大切です。

また、リビングルームやダイニング、キッチンなどは、家電製品も多く、意識してコンセントを用意するかもしれません。しかし、玄関や廊下、洗面所、収納内など、一見するとあまり必要でなさそうな場所は、ついつい見落としがちに。各空間に、どんな家電製品を使う必要があるかをイメージしながら、必要な数を確保するようにしましょう。コンセントの数や位置は、それぞれのご家庭のライフスタイルによっても、意外と違ってくるものです。

 

<失敗するケース その2>
コンセントの位置が使いにくい

コンセントの位置を低くしすぎてしまうと、掃除機のコードをつけたり外したりする際に、腰に負担がかかってしまいます。また、高すぎる場所では、掃除機をつなぐには使いにくく、またコンセント口が目立ってしまうので、インテリアとしてもあまり美しくありません。

コンセントの高さは、一般的に採用されているのは床から25cm。とくに施主さんからの指定がなければ、この高さで設定されていることが多いようです。もし、もっと低い方がいい、もっと高い方がいいなどリクエストがあれば、注文住宅の場合はプランニングの段階で伝えるようにしましょう。

 

<失敗するケース その3>
コンセントの数が足りない

コンセントの数が足りないのも、暮らしてから後悔しやすいポイント。数が足りない場合に、市販の延長コードを使ったり、電源タップでコンセントの数を増やしているご家庭も多いでしょう。しかし、このような“たこ足配線”は、消費電力量の容量オーバーを招いたり、電源タップやコンセント付近にホコリが溜まりやすくなったり、コードの破損や接続部分の緩みなどが起こったりすることで、それが火災の原因になることも考えられます。

できるだけ、この“たこ足配線”にならないようにするためには、必要なコンセントの数を確保するようにプランニングすることが大切になります。

 

<失敗するケース その4>
大きな家具に隠れてしまって、結果的に使えなくなる

必要な数のコンセントを確保したとしても、その前に大きな家具を置いてしまうと、コンセント口が塞がってしまい、ほとんど使えなく無駄になってしまうケースも。比較的よく聞かれる失敗例でもあります。コンセントの位置をプランニングする段階で、家具のおおまかな配置を考えていないと、このような失敗につながってしまいます

家具に隠れてしまったことで、延長コードを使うご家庭も多いですが、コンセント口が家具で見えないので、いつの間にかホコリがこんもり…なんてことも。ホコリが溜まることで火災の原因にもなってしまうので、なるべく避けるように計画しましょう。

 

空間別に、気を付けるポイントとは?

「コンセントの位置や数に注意すべき」と言っても、空間によって、気をつけるべきポイントは異なってきます。そこで、空間ごとに、どの位置にどのぐらいの数のコンセントを配置すべきかを考えてみましょう。

 

<玄関・廊下>
スッキリ見せたいなら、足元の目立たない場所に

玄関のコンセント
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玄関のコンセントは、そこまで使用頻度は高くないものの、いざコンセントがないと困ってしまいます。たとえば、玄関先の掃除をする際には掃除機でコンセントを使いますし、電動自転車の充電に使ったり、照明器具や空気清浄機などを設置するケースもあるでしょう。まずは、今までの暮らしを想像してみて、何にコンセントが必要かを書き出してみましょう。照明器具や空気清浄機のように通年で使うものは、コンセントを差しっぱなしにしていることも多いので、それを踏まえたうえで、いつでもフリーで使えるコンセントがもう1つあると便利です。

コンセントの位置は、照明器具や空気清浄機など、固定で使うものの位置を考えて配置します。また、玄関を上がった場所に設置する方が使いやすいでしょう。

玄関をスッキリ見せるためには、生活感の出るコンセントは、下駄箱の下や足元に近くなど、目立たない場所にするのもおすすめです。

また、廊下もほとんどコンセントを使わないと思われがちですが、掃除機で掃除をする際に使ったり、廊下に空気清浄機を設置するご家庭であれば、コンセントが必要になります。長い廊下であれば、配置と数にも気をつけましょう。

 

<リビング・ダイニング>
プランニングの段階で、家具の配置を決めておくのがベスト

勾配天井
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リビング・ダイニングは、家族が集まって、長い時間を過ごす場所。ここには、テレビやオーディオ、間接照明、加湿器や空気清浄機など、固定で使う家電製品が多く、家の中でも一番、コンセントが必要になってきます。

そのほかにも、スマートフォンやパソコンを充電したり、ゲーム機をプレイしたりと、日常生活の中でつけたり外したりする機会も多いでしょう。

いざ暮らしてみて、ここにコンセントがあったら便利なのに…ということにならないようにするには、どこにテレビやオーディオを置いて、どこにソファを置き、どこでパソコンを充電するなど、おおまかな家具の配置が分かっているとベスト。そうすると、コンセントをどこに設置すべきかが明確になります。

また、固定電話を置く位置には、電話機のほかにも、Wi-FIルーターなど通信系の機器類を置く場所になることが多いので、どこに機器類を集結させると便利かをイメージしておくといいでしょう。

リビング・ダイニングの一角に、ちょっとしたデスクスペースを作っておくのもおすすめです。ここにコンセントを充実させておけば、電話類や通信系の機器類を集結しておくことができます。デスクがあれば、コンセントは足元だけではなく、デスクの少し上あたりに設置すると、スマホやパソコンの充電にも便利。このように、リビング・ダイニングの場合は、何に使うコンセントかによって、高さを変えると使い勝手もよくなるでしょう。

 

テレビのコンセント
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また、テレビを壁かけにする場合は、あらかじめ、テレビで隠れる場所にコンセントとアンテナ端子を設置しておきます。その際に、テレビを設置したい高さや位置を決めておくと、失敗が少ないでしょう。

 

<キッチン>
家電製品が多い空間だから、何でコンセントを使うのかを明確に

キッチンのコンセント
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キッチンは、冷蔵庫や電子レンジ、炊飯器、トースター、コーヒーメーカーなど、消費電力が大きな家電製品がいくつもある場所です。安全で快適に使えるように、コンセントの数を確保しておくことはもちろん、大きな電力にも対応できるようにしておくことが大切です。

プランニングする際には、いつも使っている家電製品の位置を決めておくと、コンセントの位置も決定しやすいでしょう。さらに、固定でコンセントに挿しておきたいもの、使うときだけ挿せばいいものなどを考慮して、コンセントの数を決めるようにします

また、キッチン調理台の前にコンセントがあると、ブレンダーやハンドミキサーなど、調理器具がサッと使えて便利です。フルフラットキッチンでは難しいかもしれませんが、壁に面したキッチンや、立ち上がりのあるキッチンであれば、見えない場所にコンセントを設置してもらうのもおすすめ。ただし、水や油がかかりやすいので注意が必要ですので、シンクとコンロからは少し離れた位置がいいでしょう。

 

<洗面所>
洗面台に立って、手の届く範囲にあると便利

洗面所のコンセント
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洗面所も、意外とコンセントが必要な場所です。洗濯機はもちろんですが、ヘアドライヤーやヘアアイロン、洗面所に設置する暖房器具などを使う際に必要になります。とくに、洗面台のまわりには必ず必要になるので、ストレスなく使える位置に設置するようにしましょう。

とくに、ヘアアイロンを使う年代のお子さんがいる場合は、鏡の前に立って、手の届く範囲にコンセントがあると、抜き差しがしやすくて便利に使えます

こちらのお宅のように、オープン棚の中に設置するケースも。シェーバーなどの充電にも便利に使えそうです。このように、自分のライフスタイルをイメージして、どこにコンセントがあると便利かどうかを想像しながらプランニングしてみましょう。

 

<収納・ウォークインクローゼット>
大きめの収納空間なら、コンセントが1つはあると便利

収納内のコンセント
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収納の中は、あまりコンセントを設置するイメージはありませんが、最近はあえて設置するご家庭も増えています。比較的広めのウォークインクローゼットなどであれば、アイロンやスチームアイロンなどをクローゼット内で使ったりもできますので、コンセントがあると便利です。

さらに、生活感が出やすいハンディタイプの掃除機を充電する場所として活用している人も。その場合も、入り口付近の出しやすい位置にコンセントを設置しておくといいでしょう。

 

<子ども部屋・寝室>
限られた空間だからこそ、コンセントの位置は重要

子ども部屋のコンセント
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子ども部屋や寝室は、ある程度、家具の位置が固定されることが多い場所です。また、部屋の広さも5畳〜8畳程度とあまり広くはないため、コンセントの数は抑えめに設置するかもしれません。そのため、コンセントの位置をどこにするかが重要になります。

子ども部屋や寝室の場合は、デスクの上に置く照明やスタンド、スマホやパソコンの充電、加湿器や空気清浄機、足元を温める暖房器具などで使うことが多いでしょう。ベッドを置く場合は、コンセントがベッドに隠れてしまうと、まったく使えないコンセントになりかねないので、家具をどう配置するのかをしっかり検討します。

子どもの場合は成長すると、個室にいる時間も増えて、家電製品の数も増えていくことが予想されます。そのためにも、将来的にどんな家電製品が増えていきそうかをイメージしながら、コンセントの数を決めてみるのもおすすめです。

 

コンセントの位置や数は、あまり計画せずに設置してしまうと、後から後悔するケースも少なくはありません。また、それぞれの家族のライフスタイルによって、必要な位置や数が異なってくるものでもあります。後悔しないために大切なのは、プランニングの段階で、家具の位置や家電を使いたい場所、それに必要な数をしっかり検討すること。わからない場合は、設計士さんやプランナーさんに相談してみるのもいいでしょう。

 

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著者情報

秋 慎一郎

秋 慎一郎 監修:一級建築士 秋慎一郎 /L・DESIGN建築設計事務所

「プライバシーの守られた開放的な空間」
「季節の移ろいを感じられる心地良い住まい」
をコンセプトにして、設計活動をしています。
コートハウス(中庭型住宅)の設計を多く手掛け、
「光」や「風」を考慮した、家族と穏やかに過ごせる「住まい」を提案しています。