II型キッチン(セパレートキッチン)は家事動線として優秀レイアウト|メリット・デメリットと間取りの実例集

毎日、料理や家事をする人にとって、キッチンのプランニングはとても重要です。キッチンをオープン型にするか独立型にするかによっても家事動線は大きく変わってきますし、シンクやコンロをどのように配置するか、キッチンを回廊型にするのかなど、カウンターや設備のレイアウトによっても、キッチン内での動きは異なってきます。

そこで、レイアウトの一つとしてご紹介したいのが、II型キッチン。シンクとコンロが2列にわかれたタイプのキッチンを指します。今回は、II型キッチンについてのメリットとデメリット、実際にII型キッチンを取り入れているご家庭の間取り実例をご紹介します。

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II型キッチン(セパレートキッチン)とは

II型キッチンとは、調理カウンターが2つ並列に並んでいて、一方にシンク、一方にコンロとわかれたタイプのキッチンのことを指します。「セパレートキッチン」「2列型キッチン」などと呼ばれることもあります。

コンロは調理をする際に、油がはねてしまったり、調理中のにおいが出てしまうので、一般的にはリビング・ダイニング側から遠い方に配置することが多いでしょう。ただし、レンジフードの配置の関係や、デザイン性のあるレンジフードをあえて見せるために、リビング側にコンロを配置するケースもあるでしょう。

間取りを考えるときに、キッチンスペースを横長に取れない場合は、四角や正方形に近い形でキッチンをプランニングすることもあるでしょう。その場合は、コンロとシンクがわかれているII型キッチンの方が、スペースの形とレイアウトがフィットしていると言えそうです。さらに、狭小住宅などでキッチンにスペースを割けない場合でも、コンパクトに配置できるII型キッチンを採用するご家庭も見られます。

 

II型キッチン(セパレートキッチン)のメリットとは

II型キッチン
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コンロとシンクを別々の調理カウンターに配置するII型キッチンには、どんなメリットがあるのかをご紹介します。

 

<メリット その1>
家事動線がコンパクトになる

キッチンで調理をするときに、シンクやコンロを行ったり来たりする動きをしますが、I型で横に長いキッチンの場合、それを往復する距離も長くなってしまいます。その点、II型キッチンの場合は、コンロで作業をしながら、クルッと向きを変えるだけで、シンクでの作業をはじめることができます。つまり、家事動線がとてもコンパクトになるのです。

共働きなどで、ウィークデイの朝食や夕食などは、パパッと時短で調理や家事をしたいご家庭であれば、このようなII型キッチンはとくにおすすめです。

 

<メリット その2>
作業スペースを多く確保することができる

I型キッチンでは、シンクとコンロの間が、作業スペースになることが多いでしょう。その場合、キッチンの広さによっては、作業スペースが狭くなってしまうことがあります。また、シンクの横には水切りカゴを置くご家庭がほとんどでしょうから、さらに作業スペースが狭くなってしまいます。

一方でII型キッチンであれば、シンク側、コンロ側の調理カウンターそれぞれに、作業場所を確保することができます。I型のキッチンと比べると、調理や配膳ができるスペースも広めに確保できる場合が多いでしょう。

作業スペースが多く確保できるということは、複数人での作業がしやすいというメリットもあります。家族がそれぞれの準備に忙しい朝の時間帯や、親子で一緒に料理やお菓子作りをするときなど、複数でキッチンを使う機会が多いご家庭であれば、II型キッチンを選んでみてもいいのではないでしょうか。また、ご自宅でお客さんを招いてパーティーをする機会が多いご家庭も、オープンタイプのII型キッチンが適していると言えそうです。

 

<メリット その3>
収納スペースをたっぷり取ることができる

II型キッチンの場合、シンク側、コンロ側と両方の調理カウンターの下部分を収納として使うことができます。カウンターの下部分だけで収納を充分に確保することができれば、カウンターの上部分に設ける吊り棚の収納を設置する必要がなく、キッチンをよりすっきりと見せることも可能です。

 

II型キッチン(セパレートキッチン)のデメリットとは

デメリットとしては、コンロとシンクが2列にわかれていることで、作業台を行き来する際に、水滴などが床に落ちやすいということがあげられます。そこで、床の素材を掃除がしやすく、汚れが落ちやすいタイルなどにするのもいいでしょう。

また、II型キッチンは調理カウンターを2つ配置するため、シンプルなI型キッチンに比べて、奥行きは必要になります。家の広さはもちろん、キッチンに使えるスペースを考慮しながら、どんなタイプのキッチンにするのかを慎重にプランニングする必要があります。さらに、I型キッチンよりもコストがかかってしまうので、その点もデメリットと言えます。

 

II型キッチン(セパレートキッチン)の間取り実例

SUHACOで提案している、II型キッチンの実例をご紹介します。キッチンのプランニングの参考にしてみてください。

 

<実例 その①>
シンクを外側にすれば、景色を楽しみながらのお皿洗いも

窓のあるキッチン
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こちらのお宅のキッチンは、奥行きと幅をたっぷりもたせた、ゆとりのあるキッチン。II型キッチンの配置になっていますが、シンクとコンロはキッチンの片側にまとめて配置し、キッチン内の家事動線をできるだけコンパクトにしています。こちらのお宅のように、横にもたっぷり広さを取ったII型キッチンの場合は、どちら側からも出入りできるようにすると便利です。

また、シンクの場所は、ちょうどお庭の景色が楽しめる特等席目の前のダイニングテーブルで食事をする家族を見守りながら、家事や調理をすることもできます。

キッチンカウンター下の収納に加えて、壁側には吊り棚の収納もプラスし、しっかりと収納量を確保しています。キッチンの床部分は、お手入れしやすいタイルを採用しているので、II型のデメリットである床に水がこぼれやすい点も、掃除しやすい素材にすることでカバーしています。

 

<実例 その②>
ダイニングテーブルとも一体化させて、コンパクトに

土間キッチン
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こちらのお宅のII型キッチンは、壁側にシンク、リビング側にコンロを配置。さらに、コンロ側の調理カウンターは、外側に向かってワークトップを延長することで、ダイニングテーブルとして使うこともでき、一体型のデザインになっています。このように、II型キッチン+ダイニングテーブルは、限られた空間で快適に暮らす、狭小住宅などで採用されているアイデアのひとつ。造作で作るオリジナルキッチンだからこそ、このようなデザインが可能になります。

また、狭小住宅だからこそ、吊り棚など高い位置には収納は設けずに、なるべくカウンター下の収納を充実させるのも、空間を広く見せるコツでもあります。その点、II型キッチンは、カウンター下に収納をたくさん作ることができるので、より適したデザインと言えるでしょう。

また、シンクとコンロが対角で配置されているので、複数人で作業をする機会が多い場合は、この配置にするのがおすすめです。

 

<実例 その③>
複数人でも使いやすく、コンロとシンクを対角に配置

II型キッチン
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黒一色でまとめたキッチンは、全面開口で開放感たっぷりの空間の中にあっても、存在感は抜群。シックなII型キッチンは、シンクとコンロの位置を対角に配置しています。この配置にすることで、シンクとコンロでそれぞれに作業することができ、複数人でキッチンを使う場合にも適しています。

キッチンのすぐ脇がテラスになっていることで、外との出入りもしやすいのがポイント。日差しが入りやすく、風も通りやすい場所に水回りを配置すると、シンク内も乾燥しやすく、衛生的にもメリットが大きいでしょう。キッチン脇の勝手口のようなものが欲しければ、テラスと近い場所にシンクを配置するのもおすすめです。

 

<実例 その④>
回廊型にすれば、家事動線がよりスムーズに

II型キッチン
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こちらのII型キッチンは、どちら側からも出入りができるようになっている回廊タイプ。このようにぐるりと回ることができるレイアウトにすることで、家事動線がコンパクトになり、また複数人でキッチンを使う場合にも出入がしやすいので、お互いがスムーズに動くことができます。

また、リビング側にシンクを配置することで、家族とコミュニケーションをとりながら家事をすることができるのもポイント。シンクで洗い物をしながら、反対側からお皿を受け取って拭くことができ、お子さんがお手伝いしやすいのも、このようなオープンキッチンの良いところです。

 

シンプルなI型キッチンにするか、コンロとシンクが別々になったII型キッチンを選ぶか、I型キッチンと造作カウンターを組み合わせるか…。どんなレイアウトやデザインが、自分たちの暮らしにフィットするのかをイメージしながら、キッチンをプランニングしてみてください。イメージするためにも、SUHACOが提案している、II型キッチンの実例も参考にしてみてはいかがでしょうか。

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著者情報

秋 慎一郎

秋 慎一郎 監修:一級建築士 秋慎一郎 /L・DESIGN建築設計事務所

「プライバシーの守られた開放的な空間」
「季節の移ろいを感じられる心地良い住まい」
をコンセプトにして、設計活動をしています。
コートハウス(中庭型住宅)の設計を多く手掛け、
「光」や「風」を考慮した、家族と穏やかに過ごせる「住まい」を提案しています。