【シンプルな家づくり】廊下のない間取りにはどんなメリットがある?快適に暮らすための実例6選

限られた敷地を最大限に活用し、できるだけ快適に暮らすためのアイデアのひとつが、廊下をあえて作らない間取り。昔ながらの日本の家では、部屋と部屋を廊下でつなぐ間取りが一般的でしたが、時代とともに人々のライフスタイルや好みも変化し、間取りにも柔軟さが加わりました。

そこで今回は、シンプルな家づくりを提案しているSUHACOが、廊下のない間取りの実例をご紹介。さらに、メリットとデメリットも知っておくと、新築時のプランニングに取り入れるべきなのか、そうでないのかが判断できるでしょう。

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\このコラムでわかること/
・廊下のない間取りでは、都市部の狭小住宅にも最適
・廊下のない間取りは、正方形に近い形に合っている
・家の断熱性能が上がったおかげで、大空間が実現
・知っておきたい、廊下のない家のメリット・デメリット
・参考にしたい、廊下のない家の5つの実例集

 

廊下のない間取りの家、なぜ増えてきた?

廊下は、部屋と部屋をつなぐ役割を担っています。昔ながらの一般的な住宅では、部屋と部屋が長い廊下でつながっている間取りがよく見られましたが、窓のない廊下の場合は、なんとなく昼でも暗い印象になってしまいます。また、真冬に廊下に出ると「ひやっとして寒い!」なんて経験は誰もがあるのではないでしょうか。

最近の戸建て住宅では、あえて廊下を作らない間取りにするご家庭も増えています。都心部の住宅地などではとくに、敷地が狭いことも多く、スペースを有効活用する意味合いも大きいでしょう。さらに、廊下でつなげずに部屋と部屋をダイレクトにつなげたり、リビングダイニングやフリースペースを中心に各部屋にアクセスできるようにしたり、廊下と土間を兼ねるなど、廊下のない家とひと言で言っても、その間取りはさまざま。それぞれの家族のライフスタイルに合わせた、多様性のある間取りが増えているのかもしれません。

リビングルームの写真
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また、廊下のない間取りが増えたのは、新築住宅の断熱性能が上がったことも要因のひとつ。リビングルームを中心に個室をつなげたり、バスルームや洗面所を配置すると、廊下がない分、リビングダイニングを大空間にすることができます。
家の断熱性能が上がったことで、大きな空間でも冷暖房の効率をキープすることができ、開放感のある家でも快適に暮らすことができるようになった
のです。

このように家全体を大きな1つの空間にすることで、リビングダイニングは暖房で暖かいのに、トイレに行くのに廊下に出ると寒い……というような、家の中での大きな温度差が生じません。廊下のない間取りにすることで、より快適で安全に暮らすことができる場合もあります。

 

どんな家が、廊下のない家に向いている?

個室の入り口
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廊下のない間取りで、家族が心地よく暮らしやすい間取りにするためには、実は建物の形も関係しています。それは、
正方形に近い方が、廊下のない間取りに向いている
のです。

たとえば、正方形に近い形の家の真ん中に階段を設けて、階段の登った先をフリースペースにし、その空間を中心に個室やバスルーム、トイレなどを配置すれば、廊下にする分をフリースペースとして活用することができます。廊下であれば、歩くだけの空間になってしまいますが、フリースペースにすることで、家族が自由に使ったり、お子さんの遊び場にしたり、雨の日の洗濯物を干す場所など、さまざまな活用方法が考えられます

これが細長い建物の場合は、フリースペースを中心にするような間取りにはしづらく、部屋と部屋をつなげて移動するという間取りになってしまいます。この場合は廊下を設ける方が、部屋の行き来がスムーズかもしれません。

オリジナリティのあるキッチンカウンターのあるリビングルーム
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リビングの中に階段を配置することで、廊下のない家にすることもできます。リビングルームの中に階段があれば、階段のホールや廊下などを作る必要もありません。スケルトン階段であれば、階段下が空いているので、そこを有効活用することもできるでしょう。

また、リビング階段で上下階がつながっていると、一階と二階に一体感が生まれます。家全体がひとつの空間のように使うことができ、家族のコミュニケーションも密になるなどのメリットもあるでしょう。

さらにこちらのお宅では、階段下が空いていることで、リビング・ダイニングの空間の一部として有効活用されています。
狭小住宅などで、できるだけ部屋を広く見せたい場合に、このようにスケルトン階段下を活用するアイデアもおすすめ
です。

 

廊下のない間取りのメリット&デメリットとは

あえて廊下を作らない間取りには、多くのメリットもありますが、ライフスタイルによっては合わないケースも。そこで、廊下のない家のメリット、デメリットをご紹介します。

<メリット>
・廊下をなくした分、部屋や収納を広くすることができる
・リビングルームを中心に間取りを作れば、大空間のLDKが実現する
・廊下をなるべくなくすと、生活動線がコンパクトになる
・壁が少なくなるので、家全体に開放感が出る
・リビング階段にすると、一階と二階が緩やかにつながることができる
・建築コストが抑えられる
・家族間のコミュニケーションが取りやすい

<デメリット>
・廊下がない分、生活音が家全体に聞こえてしまう
・来客中に、プライベートな空間が確保できないこともある
・廊下に窓がない場合、どうしても暗い印象になる
・プランニングの自由度が低くなってしまう

以上のようなメリット・デメリットを知ることで、廊下のない家が自分の暮らしにフィットしているのかの判断する材料になります。

 

SUHACOが提案する、廊下のない家の5つの実例

廊下のない間取りは、実際にどんな家になっているのでしょうか。6つの実例でご紹介します。

<実例その①>
帰ってきた家族の顔が見える、廊下のない大空間の家

ワンフロアの土間玄関
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天井まで吹き抜けの、ダイナミックなリビング・ダイニング。手前が土間玄関になっていて、玄関を入ると、いきなりこの空間が広がります。靴はどこで脱いでもOK。そのまま、ダイレクトにリビングルームにつながります。

リビング階段を上がると、そこには個室があり、こちらもリビングルームとつながっている仕掛けに。家族がどこにいても、お互いに存在を感じることができる、まさに大空間の家のよさが感じられるでしょう。廊下がないので、無駄な空間はまったくありません。

このような間取りにすることで、家族が家に帰ってきたときには、顔を見ながら「お帰り」「ただいま」と声かけができるのもうれしいですよね。廊下がない家は、家族感のコミュニケーションが密になる家とも言えるのです。

<実例その②>
三和土と廊下を兼用させた、見通しのよい玄関土間

玄関と廊下の写真
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奥行きのあるこちらの玄関は、三和土部分が廊下を兼ねたデザインになっています。玄関に面した個室はスライドドアになっていて、そこを全開放にすると、玄関から個室がすべて1つの空間に。逆にここをすべて閉めれば、廊下のように使うことができるので、一階に来客があった場合も、他の家族は気兼ねなく2階へ上がることができます。

また、スケルトン階段下を土間玄関にすることで、空間を有効活用できます。SUHACOが提案する狭小住宅では、階段の下を土間玄関にするお宅も多くみられます。

<実例その③>
リビングルームを中心に、個室や水回りにアクセス

リビングルームの写真
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こちらのお宅は、広いリビング・ダイニングを中心とした平屋住宅の間取り。この空間から、個室、洗面所、バスルーム、トイレなどにアクセスできるようになっています。このような配置にすることで、廊下は必要ありません。


廊下のない間取りにすることでのメリットは、廊下の分、部屋を広くできること。また、生活動線が非常にコンパクトだということです。
キッチンを中心に水回りを配置すると、洗濯物を回すときも、お風呂の掃除や準備をするときも、家事をしながら済ませることができます。行ったり来たりの動きが少ないので、時間の短縮にもなります。

ただし、来客が多いお宅では注意が必要。リビングを通らなくてはトイレやバスルームに行けない、という間取りになっていると、お子さんが年頃になった時や来客がある場合など、使いにくい家になり兼ねません。

<実例その④>
空間を縦方向に貫く、スタイリッシュな螺旋階段

タイルがグレーのリビングルーム
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一階から二階、三階へと螺旋階段で縦につながり、そのフロアごとに個室やリビング、水回りなどがある、都市部の狭小住宅。
限られた敷地で、できるだけ開放感のある家づくりをするためには、廊下のない間取りが最適
な場合が多くあります。

こちらのお宅も、一階は土間玄関の三和土部分が廊下と兼ねられていたり、二階は階段から上がると、ダイレクトにリビングルームが広がっていたりと、ほとんど廊下はありません。それでも縦に区切ることで、それぞれに用途の違った空間が3つに分かれているのです。

こちらのお宅のように、廊下を作らずに、できるだけ居住スペースを広くしたことで、狭小住宅とは思えないような空間が広がっています。

<実例その⑤>
仕切りをなくして、開放感のあるワンフロアリビング


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フロア全体が1つの空間になっていて、個室を区切る壁もなく、もちろん廊下もありません。上下をつなぐのは、こちらもシンプルなスケルトン階段。間仕切りはすべて、引き戸タイプになっているので、開けたり閉めたりして間取りを気軽に変更できるのも魅力です。来客があったときや、お子さんが成長した時、プライバシーを確保する必要がある時などに、引き戸で仕切れるようにしておくことは重要です。

また、廊下を作らないことで無駄な空間ができません。開放的で、家族とより近くで暮らしたいご家族には、このようなダイナミックなワンフロア住宅はぴったりです。

<実例その⑥>
プライベートな中庭を設けて、部屋同士をつなげる

アウトドアリビング
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リビングダイニングやフリースペースを中心に部屋を配置する場合もありますが、中庭を中心に部屋を配置するアイデアも。お天気のいい日には、窓を開け放して、部屋同士を行き来することができるでしょう。このような間取りにすることで、中庭に自然と家族が集まってくるような動線ができあがります

限られた敷地で、なるべく広く開放的に暮らしたい…。できるだけリビング・ダイニングを大空間にして、家族の顔がいつでも見られる家づくりがしたい…。共働きで忙しいから、なるべく生活動線をコンパクトに…。このように、ライフスタイルや考え方の違いによってさまざまな家づくりが考えられ、そのひとつとして、廊下のない間取りがあるのです。あなたもぜひ、家のプランニングの際には参考にしてみてはいかがでしょうか。

SUHACOでは、家族ごとのライフスタイルに合わせた間取りを提案しています。ぜひ、オープンハウスで実際にご覧ください。

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著者情報

秋 慎一郎

秋 慎一郎 監修:一級建築士 秋慎一郎 /L・DESIGN建築設計事務所

「プライバシーの守られた開放的な空間」
「季節の移ろいを感じられる心地良い住まい」
をコンセプトにして、設計活動をしています。
コートハウス(中庭型住宅)の設計を多く手掛け、
「光」や「風」を考慮した、家族と穏やかに過ごせる「住まい」を提案しています。