“おこもり感”のある小さな空間「ヌック」で、後悔しないためのポイント&メリットとは

「ヌック」という言葉をご存知ですか?ヌックとは、こじんまりとした空間のこと。この、こじんまりとした空間で得られる“おこもり感”がなかなか心地よく、近年では間取りにヌックスペースを取り入れる住宅も増えています。ただし、まだまだ一般的なデザインではないので、取り入れる際に後悔しないためのポイントや、どんなメリットやデメリットがあるのかを知っておきましょう。

素箱(suhaco)TOPページはコチラから。

 

ヌックって、どんなスペースのこと?

ヌック
>>この物件をもっと見る

家の中で、空間のデッドスペースやステップフロア、ロフト、突き出しなどを利用して作る、こじんまりとした空間を「ヌック」と呼びます。もともとは、「neuk(ヌーク)」というスコットランド語が語源と言われていて、「温かくて心地のよい場所」という意味もあります。

ヌックの広さは、その家その家で違ってきますが、一般的には個室よりもずっと小さい空間です。さらに、壁やドアで仕切らないので、段差や素材を変えることでゆるやかにゾーニングすることが多いでしょう。このように、周囲の空間とゆるやかに区切って、少しの“おこもり感”があることで、心地よさや落ち着くような空間になるのです。

何か目的をもって設けるというよりは、家族みんながフレキシブルに使うために間取りに取り入れるというご家庭も多いでしょう。広々としたフリースペースを設けるのが難しくても、リビングの一角やデッドスペースを利用したヌックであれば、狭小住宅などでも気軽に取り入れることが可能です。

どちらかといえば、広々とした空間が好まれる近年の住宅ですが、勉強や作業などに集中したいときには、ちょっと狭いスペースの方がはかどることも多いのでは?また、家の中でひとりになる時間を作ることもできます。

 

リモートワークスペース
>>この物件をもっと見る

ヌックの中には、「リーディングヌック」と呼ばれる空間も。こちらは、造り付けの本棚や机などを設けて、読書や勉強、リモートワークなどができるような空間になっています。いわゆる、小さな書斎のようなスペースで、リビングダイニングの一角や、 廊下の一角、ステップフロアなどに設けるケースが多いでしょう。

お子さんが小さい頃は、個室に机を置いても、お絵描きをしたり宿題をしたりするのも難しいもの。その点、リビングダイニングの一角にリーディングヌックがあれば、大人が見守る中で、子どもたちがいろいろなことをすることができます。

 

ヌックを取り入れるメリットとは

ロフトのあるリビングルーム
>>この物件をもっと見る

間取りにヌックやリーディングヌックを取り入れることで、どんなメリットがあるのでしょうか。

 

<メリット その①>
さまざまな目的で使うことができる

ヌックは、何か特定の目的で作る場合もありますが、“こじんまりとした空間”として間取りに取り入れることで、実は想像以上にいろいろなことに使うことができるのです。

たとえば、お子さんが小さい頃は、遊び場としても大活躍。少し成長すれば、絵本を読んだり、そこで宿題をすることもできます。自分の部屋よりもリビング勉強の方がいいというお子さんも意外と多いので、リビングダイニングに勉強できるスペースがあることは、意外と重宝するものです。

また、大人にとってもヌックは貴重な空間に。家族から少しだけ距離を取って、ひとりの時間を作ったり、またはミシン掛けや裁縫、アイロンなどの家事を行ったり、書き物をしたり、リモートワークなどをすることもできるでしょう。何か趣味がある方なら、趣味をする場所としても活用できます。

 

<メリット その②>
子どもにとってはワクワクする秘密基地に

ヌックは、リビングダイニングよりも床が一段高くなっていたり、壁などに囲まれて“おこもり感”があることで、子どもたちにとってもワクワクするような空間に。洞穴の中のようなデザインにすれば、より子どもたちにはとっては秘密基地のような空間になるでしょう。そこで遊ぶことはもちろん、絵本を読んだり、お絵描きをしたり、さらにはそこでお昼寝をすることも。

このヌックをリビングダイニングなどに設ければ、家事をしながらやリビングでくつろぎながらも、子どもたちが遊んでいるのを見守ることができて安心です。友だち親子が遊びにきたときも、ママたちはおしゃべりをしながら、子どもたちが遊んでいるのをゆるく見守ることができます。

 

<メリット その③>
ヌックの中だけなら、散らかっていてもOKに

子どもの遊び場となったり、趣味の部屋にすると、ヌックの中はおもちゃが散らかったり、趣味の作業に使うものが出しっぱなしになることもあります。ただし、ヌックはゆるやかにゾーニングがされていて、リビングダイニング側から丸見えになるケースは少ないので、ここだけなら散らかっていてもと割り切ることができるかもしれません

リビングでおもちゃを散らかしていたり、リビングダイニングで趣味の作業をすると、食事のたびに片付けなくてはいけませんが、このような空間があることで、作業のままにしておくこともできるのです。

「片付けなさい!」と口うるさく声掛けする必要もありませんし、お子さんたちも、そこが家族共同のスペースと認識していけば、自然とお片づけをするようになるかもしれません。このように、お互いにとってもストレスなく暮らすことができるのです。

 

ヌック
>>この物件をもっと見る

 

<メリット その④>
空間にメリハリが生まれる

シンプルな空間が好まれることが多いですが、とくに広いリビングの場合は、壁が続いてしまうと、のっぺりとした味気ない空間になりがち。そこで、ヌックを設けることで立体的なメリハリが生まれるのです。ヌックはポイントや個性にもなるので、印象的な空間にしたい場合は、ヌックを取り入れてみるのもおすすめです。ヌックを設けているお宅はまだまだ珍しいので、来客の目も引くはずです。

平面のままのっぺりした空間にするよりも、立体感のあるヌックを設けることで、より空間を広く見せることもできるかもしれません。

 

<メリット その⑤>
家族と一緒にいながらも、ひとりで集中する時間も確保

個室で作業をすれば、ひとりでしっかり集中することもできますが、家族とのつながりはなかなか感じられません。階が違えばなおさらでしょう。とくに小さなお子さんがいるご家庭であれば、家族の気配は適度に感じながら、ひとり時間にも集中したいところ。

また、個室の場合は、完全にプライベートな空間になり、家族みんなで共同で使うということは難しいでしょう。ヌックの場合、リビングダイニングの一角や廊下などに設けることで、特定の誰かの空間というよりは、家族みんなで気軽に使える空間になるのです。

 

ヌックのデメリットを知っておこう

ヌックを検討する場合は、デメリットについても知っておきましょう。

 

<デメリット その①>
ヌックの分の面積が必要になる

個室や広めのフリースペースほどの広さは必要ありませんが、もちろん、何も作らないよりも、面積はヌックの分必要になります。ただし、空間の上に作ったり、ロフトのようなデザインにすることで、デッドスペースを活用することもできます。

ヌックのために面積を確保すると、リビングダイニングや廊下などがヌックの分狭くなってしまいますが、もともと存在するデッドスペースを活用するのであれば、他の空間が狭くなってしまうこともありません。

 

<デメリット その②>
費用がかかってしまう

ヌックを間取りの中に取り入れることになると、その分、費用が上乗せになってしまいます。部屋の一角に机や本棚を作るだけでは、そんなに費用がかさむことはありませんが、小上がりにしたり、壁で仕切ったりすると、それだけ費用が上がってしまうのです。

さらに、ヌックをより快適に使うためには、環境を整えることが大切です。換気設備や空調設備、採光窓、照明などの設備も検討してみましょう。このあたりの設備がないと、夏は暑くて冬は寒い空間になってしまう、いずれ、あまり使わなくなってしまうというケースもあるでしょう。何の設備を採用するかは、その家それぞれですが、その費用がかかってしまいます。

 

後悔しないためのポイントとは

ワークスペース
>>この物件をもっと見る

ヌックを取り入れることは、場合によっては後悔するケースもあります。後悔しないためにも、ポイントを押さえておきましょう。

 

<ポイント①>
どのように使うのかイメージをする

ただデザインが素敵だからとヌックを作ってしまうと、あまり使わなくなってしまい、最終的に物置になってしまった…なんてことにもなりかねません。いろいろな目的に使えるといっても、自分の家の場合は、どんな使い方ができるのかをイメージしておくことはとても大切です。「いつ、どんなときに使うのか」をイメージして、いろいろな使い方ができそうだとイメージできたら、間取りに取り入れてみるのがいいでしょう。

 

<ポイント②>
居心地のよい、こじんまり感を大切にする

ヌックとして活用するのであれば、“おこもり感”は大切に。周囲とは適度にゾーニングをしつつ、完全に個室にしないことがポイントです。あまりオープンな空間になってしまうと、思ったよりも集中できなかったり、昼寝などを気軽にできないなど、少し使いづらい空間になってしまいます。

 

<ポイント③>
必要に合わせて、空間の環境をしっかり整える

ただヌックを作るだけでは、居心地が悪い空間になってしまう可能性も。適度に光が入る、空気が停滞しないような作りにする、必要であれば窓や照明などを取り付けるなど、そこにある程度の時間を過ごすことを前提に、環境を整えましょう。

 

<ポイント④>
別空間として認識できるようにする

ヌックは、リビングダイニングなどの一角にありながらも、周囲とは別空間としてゾーニングをすることが重要です。そのためには、天井をぐっと下げたり、床を一段上げたり、床の仕上げを変えるだけでも違ってきます。このようにすることで、ちょっと違う空間になっているのが実感できるでしょう。このことで、集中力が生まれたり、気持ちの切り替えができるようになります。

 

ヌックという言葉を知らなくても、このような小上がりや小さなスペースに憧れを持っていた方も多いのでは?リビングダイニングなどに取り入れることで、家族とつながりながらも、何かに集中したり、ひとり時間を過ごすこともできます。また、空間にメリハリが生まれ、デザインによっては広く感じられることも。ぜひ、間取りづくりの参考にしてみてはいかがでしょうか。

素箱(suhaco)TOPページはコチラから。

施工事例をもっとみる