「家は3回建てないと理想の家にならない」とはよく言いますが、家づくりには高額なお金がかかることなので、そう何度も建てられるものではありません。そこで、 はじめての家づくりでも、できるだけ後悔しないためには、家づくりでよくある後悔ポイントを事前に知っておき、それに対する対策やプランニングのコツを取り入れてみるのがおすすめです。そこで今回は、リビング・玄関・キッチンで、よくある後悔ポイントと、それに対するプランニングのコツをご紹介します。
リビングでの過ごし方や使い勝手に後悔しないために
リビングでは、どんな後悔ポイントがあるのでしょうか。その対策とプランニングのコツをご紹介します。
<リビングでの後悔ポイント その①>
リビングでくつろいでいると、通りからの視線が気になる
リビングでくつろぐ時間は、家族にとっても大切なひとときです。しかし、 日当たりのよさを重視して開口部を大きくしてしまうと、当然、前の通りや周囲の住宅からの視線が気になってしまうことも。庭を広めに取れる敷地の余裕があればいいですが、狭小住宅などでは、通りと近い場所にリビングがあるような間取りも考えられます。せっかく大きな窓を設けても、1日中、ブラインドやカーテンを閉めなくてはいけない、ということにもなりかねません。
【後悔しないためのプランニングのコツ】
二階リビングにしたり、中庭を設ける
周囲からの視線が気になるということであれば、二階リビングという選択肢も検討してみては。二階リビングであれば、通りからの視線はまず気になりません。さらに、まわりの建物の窓と重ならないように開口部をプランニングすることで、周囲からの視線を気にせずに暮らすことができます。
二階リビングにすることで、将来的に階段の上り下りがきつくなりそう…という方の場合は、中庭を設けるのもアイデアのひとつです。家の一部分に中庭を設けて、そこを中心にリビングや個室を配置すれば、中庭に向かって開口部を設けることができます。このような間取りにすれば、周囲の視線はほとんど気になりません。
<リビングでの後悔ポイント その②>
リビング内の収納量が足りなかった
リビングの広さや間取りなどに気を取られがちですが、 意外と盲点なのが、リビングの収納です。家族みんなが集まる場所であり、何かとしまっておきたいものが多いものです。さらに小さなお子さんがいれば、リビングで遊んだり、ちょっと昼寝をさせたりと、お子さんのものを収納しておく必要あります。小物類だけではく、 ラグやクッション、掛け布団など、ある程度大きめのものが入るようにしておくと便利ですね。
【後悔しないためのプランニングのコツ】
造作家具で、インテリアとなじむ収納を作る
リビング内の収納は、あらかじめ、造作家具としてプランニングしておくのがおすすめです。たとえばこちらのお宅のように、リビング内に奥行きのあるオープンシェルフの造作収納を設けるアイデアも。ベランダ側から見ると、大きな箱のようにも見えますが、収納の機能を果たしながらも、リビングとキッチンのスペースを自然な形で区切る役割も果たしています。造作の収納にすることでインテリアにもよくなじみ、使う場所の近くに収納を置くことができるなど、自由度も高くなります。
もし、収納スペースを確保できないのであれば、こんなアイデアも。こちらのお宅では、リビングの一角にダウンフロアのデザインを取り入れています。実は、 ダウンフロアの縁はベンチになっていて、その下全面が収納になっているのです。ここにお子さんの絵本やおもちゃを入れたり、雑誌や書籍などを置くことができます。
玄関のプライバシーや収納力で後悔しないために
玄関では、どんな後悔ポイントがあるのでしょうか。その対策やプランニングのコツをご紹介します。
<玄関での後悔ポイント その①>
玄関ドアを開けると、通りから室内が丸見えになってしまう
玄関の位置や向きを考える際に気をつけたいのが、家の前の通りからの視線をしっかり遮った作りにすることです。玄関まわりのデザインや広さばかりに目が行きがちですが、 玄関の向きや位置によっては、ドアを開けっぱなしにしたときに、通りから室内が丸見えになってしまいます。お子さんが小さいと、ドアを開けっぱなしにしてしまったり、車から荷物を運ぶ際に開けたままにするなど、意外と玄関が空いた状態になることも多いものです。
【後悔しないためのプランニングのコツ】
玄関に段差を設けたり、壁や植栽で目隠しを
通り側に面した玄関にしないという方法もありますが、敷地の形や間取りの関係でそれが難しい場合は、アイデア次第で視線を遮ることができます。たとえばこちらのお宅のように、 玄関までに数段の階段をつけて、通りを歩く人と目線を合わせないように。また、玄関ドアの前にちょっとした 壁や植栽を植えることで、通りからなるべく見えないような工夫をすることができます。
<玄関での後悔ポイント その②>
玄関まわりの収納が足りなかった
シューズクロークをはじめ、玄関まわりの収納量に迷われる方も多いのではないでしょうか。実際に家で暮らしはじめてから、アウトドアにハマってアイテムが増えてしまった、お子さんが増えて靴の量が増えたなど、ライフスタイルは変化していくものです。とくに シューズクロークの収納量が足りないと、靴が玄関に出しっぱなしになり、きれいな玄関を保つことができません。
【後悔しないためのプランニングのコツ】
玄関側と室内側の両方から使えるたっぷり収納を
玄関まわりの収納は、玄関側から取り出せる収納部分と、室内側で取り出せる収納部分の両方を作っておくと、何かと便利に使えます。玄関側の収納はシューズクロークとして、室内側は家族それぞれのアイテムをしまっておくなどの使い分けを。玄関から室内へ収納がつながっていることで、暮らしに合わせて、その割合を変えてみるのもおすすめです。また、シューズクロークの下部分に空間を設けたことで、よく使う靴やサンダルは、収納の下にサッとしまっておくこともできます。
キッチンの間取りやサイズ感で後悔しないために
キッチンでは、どんな後悔ポイントがあるのでしょうか。その対策やプランニングのコツをご紹介します。
<キッチンでの後悔ポイント その①>
キッチンカウンターを作ったが、あまり使わなくなってしまった
キッチンを対面型にすると人気なのが、キッチンのリビング側をカウンターにするデザインです。キッチンを挟んで、家族同士で会話などを楽しむことができたり、そこで軽く食事をすることもできますが、だんだんと使わなくなってしまうご家庭も。 カウンターがあると、そこがモノの置き場所になってしまい、キッチン前が雑多な印象になってしまうこともあります。また、キッチンカウンターを作るのであれば、ある程度の奥行きが必要になってきますが、それが活かしきれないと、空間を無駄にしてしまう可能性も。
【後悔しないためのプランニングのコツ】
キッチンと並列にカウンターを作って、ダイニングテーブルと一体型に
対面でキッチンカウンターを作る場合、ある程度の奥行きを確保しないと、キッチンで立つ人と、カウンターに座る人の距離が近すぎてしまって、いまいち使いづらいということもあります。そこで、 キッチンと並列に伸ばすようにカウンターを作り、そこをダイニングテーブルとして活用するアイデアも。このデザインであれば、キッチンとテーブルに座る人が程よい距離にいられて、そこで会話をしたり、軽く食事をしたり、お子さんが宿題をすることができます。ダイニングテーブルと一体型なので、無駄になることもありません。
<キッチンでの後悔ポイント その②>
キッチンの高さや通の幅などが、ライフスタイルに合わない
素敵なデザインのキッチンを作ったけれど、なんとなく使い勝手が悪い…。そんな悩みを抱える方も多いのではないでしょうか。 キッチン台の高さや通路幅などがライフスタイルに合っていないと、いくら素敵なキッチンを作ったとしても、使い勝手は悪くなってしまいます。キッチンは毎日立つ場所ですので、 自分たちの暮らしにフィットしたサイズ感で作るようにしたいものです。
【後悔しないためのプランニングのコツ】
通路幅などは、ライフスタイルを踏まえてサイズを決める
まずは、 プランニングをする際に、キッチンをどのように使うかを慎重に検討を。普段から1人でキッチンを使うようであれば、そんなに広い幅を確保する必要はありません。 1人で使う場合は、80~90センチあればいいと言われています。それ以上幅を広くしてしまうと、1人の場合、かえって使いにくくなってしまうことも。
一方で、 複数人でキッチンを使うことが多いのであれば、100〜120センチは確保するのがおすすめです。このぐらいの幅があれば、1人がキッチンに立って作業をしていても、もう1人が余裕をもって後ろを通ることができます。
また、キッチンの作業台の高さも、使う人のサイズに合ったものをきちんと算出しましょう。 標準的な高さは85センチと言われていて、 身長(cm)÷2+5cmで計算することができます。サイズ感を確認したい場合は、ショールームなどに足を運んで、実際にサイズを体感してみることがとても大切です。
家づくりは、限りのある予算の中で、限りのある敷地で建てるものなので、どうしても理想通りにとはいきません。また、はじめての家づくりであればなおさらです。ただしその中でも、自分たちができるだけ納得して、後悔しない家づくりをするためには、 よくありがちな後悔ポイントを押さえておくことはとても大切ですよね。今回は、リビング・キッチン・玄関の3か所の後悔しがちなポイントと、後悔しないためのプランニングのコツをご紹介しました。
ぜひ、家づくりの参考にしてみてください。