30坪のシンプルな注文住宅は、程よくコンパクトながら、間取りの工夫次第では驚くほど開放的な空間づくりができる広さです。家族構成の変化にあわせて自在に間取りを変えられる可変性のある構造なら、25坪でも等身大のちょうどいい暮らしも可能です。そこで、今回は注文住宅で建てる25坪~30坪のシンプルな家で心地よく暮らす間取りのポイントを解説します。ぜひ家づくりの参考にしてくださいね。
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目次
30坪ってどれくらい?~土地と建物の広さ
まず、30坪とはどれくらいの広さかを確認しておきましょう。
30坪は、約100㎡(99.17㎡)です。住宅は坪単位で広さを示すことが多いので、参考までに1坪はどれくらいの広さかというと畳2枚程に相当します。6畳の部屋は3坪程度ということになります。
面積(広さ)をメートルに換算すると約10m×10mほどの区画と考えれば、おおよその広さがイメージできるかもしれません。
30坪の土地に家を建てる場合
30坪の土地にどれくらいの広さの家が建てられるかは、建ぺい率によって定められています。建ぺい率は、敷地面積に対する建築面積の割合のことで、各自治体が都市計画で、例えば、50%、60%、80%といった上限が定められています。
例えば、杉並区で、第1種中高層住宅専用地域に指定されている土地の場合、建ぺい率60%、容積率200%。低層住宅専用地域は、建ぺい率40%、容積率80%といった指定があります。
30坪の敷地面積の場合、建ぺい率60%なら、最大で18坪の建築面積が確保できます。仮に、2階建ての箱型の住宅を建てると考えた場合、最大でその倍の36坪の延べ床面積の家を建てることができます。建ぺい率40%なら、最大で12坪の建築面積になりますので、最大で24坪の延べ床面積の家になります。このように、自治体が定める用途地区の指定や、その特例措置などによって、建てられる住宅の面積が変わってくるのです。
延べ床面積30坪の住宅を建てる場合
続いて、同様に、箱型の延べ床面積30坪(1階15坪、2階15坪))の2階建て住宅を、建ぺい率60%の土地に建てるなら、建築面積(建坪)は概算で15坪になります。建坪15坪の住宅なら、25坪以上の敷地面積が確保できれば建てることができます。同様に、建ぺい率40%の土地に建坪15坪の家を建てるには、37.5㎡の土地を確保する必要があるのです。
※実際は敷地ぎりぎりには建てられませんので、もう少し余裕をもった計算が必要ですのでご参考まで。
30坪のシンプルな家~家族構成と家の広さ
日本の平均的な住宅の広さは、30坪~35坪。国土交通省「平成30年度住宅市場動向調査」によると、注文住宅、分譲戸建て住宅の平均居住人数は、1世帯あたり3~4人になります。一般的な間取りで言えば、3LDK~4LDKのイメージでしょう。
また、国土交通省「住生活基本計画・居住面積水準」では、世帯人数ごとの快適な住宅面積の水準が示されています。郊外の戸建て住宅の場合、2人世帯が55㎡(16.5坪)、3人世帯が100㎡(約30坪)、4人世帯が125㎡(約38坪)されています。
以上が、これまでの日本の住宅の標準サイズ、あるいは今後の快適な住宅面積の水準です。しかし、都会での暮らしや、間取りの制約にとらわれない自由で心地よい空間づくりで家づくりを考えた場合、もう少し違ったアプローチの家づくりができます。
25坪~30坪のシンプルな注文住宅の間取りのポイント
都心でも比較的確保しやすい延べ床面積25坪~30坪程度のスペースを有効活用して、自分たちにとってちょうどいいシンプルな暮らしがしたい。そんな心地よい家づくりの方法を考えてみましょう。
【1】可変性のある間取り
家族構成、ライフスタイルの変化に対応できる家
人生のうちで、そう何度も家を建てることはできません。人生の時間の流れの中で、家族構成やライフスタイルは、変化をしていきます。私たちの暮らしが変化していくように、家もそれに合わせて変えていく。それが素箱の家づくりの基本です。
将来、家族のカタチ、暮らし方が変わっても、30坪の広さでもできるだけストレスがないように、家を柔軟に変化さえていくことができる注文住宅の家づくりが、家族のカタチにあわせて長く快適に暮らせる家と言えるでしょう。
間仕切り壁を増やさず、吹き抜けのある空間づくりをする
家族構成やライフスタイルの変化にあわせて間取りを自由に変化させることができるようにするには、できるだけ壁はつくらず、最低限の間仕切り壁にするのがよいでしょう。
特に、30坪の注文住宅は、壁が増えて、居室が増えると、やや狭い印象になってくることがあります。吹き抜けのあるリビングを中心に、家族構成に応じて、必要最低限の居室を確保すれば、2人~4人が快適に暮らせるスペースが十分確保できます。
家族構成の変化に応じて、家族が増えれば個室をつくる。子供が独立したら、壁を取り払い夫婦で広々と暮らす、といった空間を暮らしに合わせて変化させていくことができます。
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【2】シンプルな動線、コンパクトな設備
水回りを集中させること
30坪程度の広さで家事や生活動線が快適な家は、キッチンを中心に、洗面所、浴室、トイレなどの水回りを、非常にコンパクトにまとめてスムーズな動線設計をしています。単に1か所に固める、というのではなく、生活全体の流れを止めずに回遊できる動線設計にすることが、シンプルな暮らしにつながるポイントの1つです。
例えば、キッチンは、リビングとひとつながりの暮らしの中心です。
買い物から帰ってきたら、まず、重い買い物袋や、箱買いした荷物などを、玄関からキッチンへと移動して、必要な場所に収納する必要があります。キッチンからのゴミ出しもストレスなく、スマートにしたいところです。
キッチンは、暮らしにまつわる物流の重要拠点です。できるだけ玄関からの動線がいいポジションにキッチンを配置することが、日々の家事動線をシンプルにする第一歩です。
料理をしながら、洗濯機を回し、子供の様子をみながら、掃除もする、といった、子育て期間の動線も考えると、家事動線の重要性は言うまでもありません。
キッチンの場所を基点として、水回りをできるだけ1か所に集めれば、家事動線がコンパクトになり、何度も洗濯のためにランドリールームに行ったり来たり往復の移動距離が少なくなります。
水回りを集中させることのメリットは、給水・排水管工事のしやすさにもつながります。水回りが集約されれば、それだけ部材も最小限にでき、工事もしやすいので、建築費も抑えやすくなります。
将来的に、修繕が必要になってもコンパクトな範囲で済みますので、リフォーム費用も抑えやすいでしょう。
水回りの設備をまとめることができれば、これからの人生の長いにわたって実感できる生活や家事の動線のシンプルさ、経済性なメリットなど、日々のシンプルな暮らしが実現しやすくなります。
生活動線を複数検討すること
30坪の家で、壁が少ない間取りになると、家事や生活動線も必然的にコンパクトになります。動線がコンパクトになるだけだと、朝の身支度などの洗面・トイレまわりが渋滞するといったように、動線がぶつかる場合も出てきます。
コンパクトな動線にするだけでなく、回遊する動線や、複数のルートがある動線にすると、こうした動線のぶつかりは少なくなります。場合によっては、洗面台を複数設置するなど、家族の生活動線を具体的に検討しながら、できるだけ流れるように暮らせる動線を設計することが、シンプルな暮らしにつながります。
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【3】中庭の効用、光と風の流れをつくる
25坪~30坪というコンパクトな住まいをより心地よい居場所にするには、開放感のある間取りの工夫と、外とつながる開口部(庭とのつながりや窓等)の配置が重要です。
同じ窓でも窓の位置を少し変えるだけで、空間の印象が大きく変わります。大きめの窓は意識が自然と外に向かい、それだけで開放感のある空間づくりがしやすくなります。
小さめの窓を空間に配置すると、空間に立体感が生まれます。天井に近い位置に高窓、足元付近の地窓などを効果的に位置すれば、光と風の流れが生まれます。
敷地面積が確保しにくい都市部や立地条件では、30坪の住宅に中庭をつくるのもおすすめです。
中庭は、プライバシーも確保できる安心感と、外とつながりやすい開放感のある暮らしを実現する有効な手段の1つです。自然の働きを効果的に採り入れることで、できるだけエアコンに依存しないシンプルな暮らしが実現しやすくなります。
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【4】収納を充実させる
シンプルに暮らすために、モノを少なくすることは重要な要素です。とはいえ、生活必需品としての食料品や日用品は、暮らしの中で、ある程度のストックは必要です。その際に、意外とかさばったり、搬入搬出が重労働になる場合も多いのが実際です。
飲料水やかさばる日用品のストックは、玄関とキッチンの動線に隣接するパントリーに収納できれば、モノの動きをシンプルにすることができます。
新しい生活様式の基本となる、帰宅後の手洗いうがいと同様に、できるだけ衣服についた埃、ウィルスなどもリビングやキッチンに持ち込まないようにする必要があります。そのため、玄関から水回り、玄関からリビングへの動線とのつながりに、シューズクローゼットなどのファミリークローゼットが採用されるケースも増えています。シューズクローゼットは、玄関からの土間つながりで靴や傘以外にも、コートや帽子、ベビーカーや自転車などを収納できるように、必要に応じて想定しておく必要があります。
子供ができてからキャンプに行く機会が増えたり、サーフィンなどのアウトドアの趣味が増えたりすると、収納場所に困る場合もあります。シンプルな暮らしの中にも、人生を最高に楽しむための家づくりができるように、できるだけ可変性のある間取りにするのがよいのではないでしょうか。
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まとめ:30坪の注文住宅の相場とシミュレーション
30坪の二階建て住宅の坪単価(建築費)は、地域工務店の場合は1,500万円~2,100万円です。ハウスメーカーになると、2,100万円~3,000万円になります。坪単価で言えば、地域の工務店は50万円~80万円程、大手ハウスメーカーは70万円~100万円が相場です。つまり、延べ床面積30坪程度でほぼ同様の仕様の家を建てる場合、坪単価で20万円~30万円程度の差が出てきます(設備や仕様により、坪単価は変動します。)
デザイン、性能、価格をちょうどよくバランスさせるには、ハウスメーカーと地域の工務店のどちらで家を建てるのがよいのでしょうか?
例えば、あなたが住みたい街の地域の工務店で、デザイン性が高く、耐震性や断熱性などの住宅性能も十分で、住み始めてからも自由に間取りが変えられる、そんな30坪の家が建築費1,800~2,100万円で実現できるとしたら、どうでしょう。
素箱/SUHACOは、30坪の2階建て住宅で、自由に間取りが変えられる家を2,000万円前後の予算で建てられる家を基本プランとしています。
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