間取りを考える際に、階段をどこに配置するのかを悩む方も多いのではないでしょうか。その選択肢のひとつであるのが、リビング階段。リビングの中に階段があることで、家族みんながリビングを通る動線が自然とでき、さらに上下階の空間に一体感が生まれるなどのメリットがあります。そこで、シンプルな家づくりの中で、リビング階段を素敵に見せるための、間取りのコツと実例をご紹介します。
リビング階段にするメリットとデメリットとは
まずは、リビング階段を取り入れる際のメリットとデメリットを知っておきましょう。それを理解した上で、リビング階段のある間取りにするかどうかを判断することが大切です。
1、家族が必ずリビングを通る動線が生まれる
2、上下階でのコミュニケーションが取りやすい
3、上下階で光や風が通りやすい
4、階段でつながることで、家を1つの大きな空間として楽しめる
5、スケルトン階段にすれば、空間の有効利用ができる
6、リビングルームを最大限に広く使うことができる
7、スケルトン階段を加えると、空間のアクセントになる
デメリットもチェックしましょう。
1、空間がつながって仕切りがないので、冷暖房の効きに影響がある
2、二階リビングの場合、リビングの冷気が階段を通じて下に流れやすい
3、強度の問題もあり、一般的な階段よりもコストが高くなる
4、来客中は、他の家族が階段の上り下りに気を遣う場合もある
5、リビングルームの音が二階の個室まで届くこともある
6、スケルトン階段の場合、安全対策をしっかり行う必要がある
SUHACOが提案する、リビング階段の間取り&実例
シンプルな家にぴったりの、リビング階段を提案しているSUHACOの家。実際にどんな間取りやデザインがあるのか、実例でご紹介しましょう。
<間取り&実例 その1>
階段を一番奥に配して、家を一周できる動線に
手前側の玄関土間から、ダイレクトにリビングダイニングが広がるという、ダイナミックな間取りのお宅。1階部分は仕切りのないワンフロアなので、もちろん、階段もリビング内にあります。リビングダイニングを通って、一番奥側の壁に階段を設置したことで、家族とコミュニケーションを取りながら、二階に上がる動線に。階段を上がった先には、リビングを見下ろせるような廊下が設けられていて、まさに家の中をぐるりと回れるような、ユニークなレイアウトになっています。
リビング階段の素材は、キッチンなどの色と合わせてグレーで統一。白い壁に、斜めにのびあがっていく華奢なラインが映え、家人のセンスの良さが感じられます。また、天井までの大開口を設けたことで、階段や二階からの眺めも抜群。階段を登っていくと、だんだんと見える景色も変わっていく、そんな楽しみ方もできるでしょう。
<間取り&実例 その2>
階段デザインを工夫すれば、上り下りがしやすく
写真奥にある玄関からリビングに入ってくると、真正面にキッチンがあり、その脇から二階に上がるリビング階段が設けられている、こちらのお宅。ストレート階段の場合、一気に上がるデザインが基本ですが、こちらのお宅のように踏み面を一箇所だけ長めにすることで、ちょっとした踊り場ができあがります。このような作りにすることで、高齢者や小さなお子さんでも登りやすくなりますし、階段の勾配を少しゆるやかにすることもできます。
こちらのお宅の場合は、階段下もリビングのスペースとして活用できます。高い家具は置けませんが、低い家具を配置したり、お子さんのちょっとした遊び場にするなど、デッドスペースを活かしやすいというメリットもあります。
<間取り&実例 その3>
複数の階段を設ける場合は、平行に重ねて空間をつなげる
一階から二階、そして三階と、複数の階段が必要になる間取りであれば、リビング階段にして、こちらのお宅のように階段を平行に重ねてしまうというアイデアも。このような間取りにすることで、上階の光を階下に届けたり、風を循環させることもできます。また、一階から三階まで複数のフロアがある場合に、その空間をつなぐことで、家のどこにいても家族の気配を感じていられるような家づくりができるのです。
こちらのお宅の階段デザインは、手すりやフレームに明るめのグレーを採用したことで、ナチュラルで洗練された雰囲気に。階段やロフトの手すりは細く仕上げることで、スッキリとした印象になります。
<間取り&実例 その4>
家を縦方向につなげる、個性的な螺旋階段
こちらのお宅では、リビング・ダイニングの螺旋階段を設けています。螺旋階段は、ストレート階段やかね折れ階段よりも、小スペースで階段を設置することができるので、狭小住宅のリビング階段にぴったり。またデザイン性も高く、存在感も抜群です。
三階建ての場合、一階から二階、二階から三階の階段の動線を考えた時に、どうしても上り下りする距離が長くなってしまうのですが、螺旋階段であればコンパクトな動線で、そのまま三階まで上がることができるというメリットがあります。とくに、限られた敷地に建つ家であれば、ぜひ検討してみたい階段デザインと言えます。
ただし、螺旋階段は比較的勾配が急なデザインが多いので、高齢者やお子さんにとっては少々上り下りがしにくいこともあります。そのデメリットを考慮して、選ぶようにしましょう。
<間取り&実例 その5>
リビングの中央に配して、動線をコンパクトに
リビングの真ん中に階段を設けている、こちらのお宅。実は、リビングとダイニングの中央に階段があることによって、緩やかに領域が分けられているのです。あえて中央に配されているのですが、階段の手すりなどがあることで、視界の邪魔になってしまうのは避けたいところ。そこで、できるだけシャープな手すりを採用して、シンプルですっきりとしたデザインにしています。
階段がリビングの中央に配されていることで、実は動線がコンパクトになります。この家のように細長い建物の場合、端に階段を設けてしまうと、端から端まで動かなくては行けないケースも出てきます。それが中央にあることで、できるだけコンパクトに動けるのです。
<間取り&実例 その6>
リビング階段の下の空間を有効活用する
階段に下は、どうしてもデッドスペースになりがち。でも、限られた面積で家づくりをするのであれば、階段の下も有効活用をするべきです。
そこでこちらのお宅では、リビングに階段を設けて、その下をテレビ台として活用できるようなデザインにしています。テレビ台も造作することで、その場所にぴったりのテレビ台を作ることもできますし、階段の踏み面と同素材にすることで、階段まわりのデザインに統一感が生まれます。
<間取り&実例 その7>
天井高の空間では、リビング階段がアクセントに
リビング階段のメリットとして、インテリアのアクセントにもなるという点があります。とくに、天井が高いリビングや吹き抜けになっているリビングなど、縦方向にのびる空間の場合には、スケルトン階段を採用するのがおすすめ。リビング階段の直線が加わることで、空間にメリハリが生まれ、全体的にキリッとした印象になります。
こちらのお宅の場合は、リビングが白とナチュラルな木材で仕上げられていて、非常にシンプル。ただ、縦も横も比較的広いスペースであることで、少々味気ない印象にもなりがちです。そこで、この空間にスチールの黒い階段をプラスしたことで、空間のよいアクセントになっているようです。
リビング階段にすることで、キッチンで家事をしていたり、リビングでくつろいでいても、家族が出かけたり帰ってくる様子がいつでも感じられます。「行ってらっしゃい」や「おかえりなさい」を言い合えたり、お互いが忙しくても顔を合わせることができるなど、コミュニケーションの機会を自然と増やすことができるのです。
また、リビング階段で上下のフロアがつながっていることで、家族の声が頻繁に行き交い、光や風が気持ちよく通り抜けるなど、さまざまなメリットもあります。
SUHACOでは、ワンフロアのリビングにスケルトン階段を印象的にプラスする間取りとデザインを多く提案しています。ぜひ、オープンハウスなどで実際にご覧になってみてください。