家づくりをする際に、よく耳にする「動線のいい家」。実際には、どんな家を指すのでしょうか。「動線」とは、人が家の中を移動する道筋のこと。そして、動線という言葉を使う時には、「家事動線」や「回遊動線」という言葉でよく使われるかもしれません。そこで今回は、どんな動線にすると、家族にとって快適な家なるのか、そのアイデアをSUHACOの間取りとともにご紹介します。
目次
家事動線と回遊動線とは?
動線の中でも「家事動線」という言葉は、家づくりをしていると特によく聞く言葉かもしれません。「家事動線」とは、キッチンで調理や片付けをしたり、洗濯や掃除などの家事を行うために通る経路のことを指します。
そしてもう一つ、「回遊動線」という言葉で使われることも。こちらは、家の中を移動する際に、できるだけ行き止まりがなく、家の中をスムーズに移動して回れるように設計された動線のことを言います。
回遊動線のよい間取りアイデアとは
SUHACOが実際に提案している、「回遊動線」の間取りアイデアを8選、ご紹介します。
<その1>
洗面所とバスルーム、ベランダが回遊できる
洗濯物の家事は、一箇所で完結できるものではないのが大変なところ。洗濯機を回して、終わったら取り出し、ベランダに移動して洗濯物を干し、乾いたらそれを取り込んで畳む…。さらに、それを各部屋に持っていく手間もあります。もし、洗濯物を干すベランダと洗濯機がある場所が遠いと、その移動だけでもひと苦労。1日に何度も洗濯物を回すご家庭の場合は、なおさら大変な家事になっているのではないでしょうか。
そこで、洗濯機のある洗面所を中庭やベランダにつなげることで、洗濯の家事動線が一気にコンパクトになります。また、洗面所とベランダ、そしてリビングが回遊動線になっていることで、ベランダで乾いた洗濯物をリビングに取り入れて、そこで畳むこともできます。
<その2>
キッチンを回遊しながら調理や家事ができる
一日三度の食事を家で作る場合、キッチンにいる時間はどうしても長くなってしまいます。ということで必然的に、キッチンを中心に家事をするということも多いでしょう。そこで、キッチンが行き止まりのない回遊動線になっていると、調理や家事をする際にスムーズに動くことができます。
たとえばこちらのお宅では、キッチンの片側を壁づけにせず、ぐるりと回れるような配置になっています。また、キッチンの背面奥に、たっぷり収納できるパントリーも用意。扉をつけずにオープンにしたことで回遊性が高まり、さらに使い勝手がよくなります。
また、キッチンはリビング側にせり出したようなデザインになっているので、椅子を置いてカウンターのように使うことも。キッチンとカウンター席の行き来をするのも、ぐるりと回れるような動線になっていることで、家族が複数でキッチン周辺にいても、お互いぶつからず、スムーズに動くことができます。
<その3>
キッチンや洗面所など、水回りが1箇所にまとまっている
キッチンを中心に水回りを配置する間取りにすると、調理や家事をしながら、その隙間時間に別の家事をすることができて、時短にもなります。共働きなど、ウィークデイが忙しいご家族の場合は、このような動線にすることでスムーズに家事を行うことができるでしょう。
たとえばこちらのお宅は、キッチンの奥に洗面所とバスルームがある間取りになっています。キッチンで調理や後片付けをしながら、その合間に洗濯機を回したり、バスルームの掃除をすることもできます。さらに洗面所から直接、リビングにも面したベランダに出ることができるので、ぐるりと回遊できるようになっています。洗濯物を干すのも最短の動線で行うことができて、取り込みもしやすいでしょう。
さらにこのような間取りになっていることで、キッチンにいながら、お風呂場の様子を見守ることができます。お子さんが一人でお風呂に入りはじめてからも、キッチンとお風呂場が近い場所にあることで、いつでも見守ることができて安心です。
<その4>
家全体を回遊動線の間取りにする
回遊動線の家をプランニングする際に、水回りなど一部を回遊型にする以外にも、家全体をぐるりと回れるような間取りにする場合もあります。そうすることで、その中心にプライベートな中庭を設けることができるのが、この間取りのメリットのひとつ。しかし、回遊型の間取りにするには、ある程度の敷地面積が必要になったり、建物がどうしても正方形に近い
形になるので、敷地の条件などによるところが大きいでしょう。
こちらのお宅では、完全な回遊型ではありませんが、コの字型の間取りになっていて、家の中を回遊できるようになっています。このような形の家にしたことで、部屋同士が向かい合った配置になり、いつでも家族の気配を感じられます。
また、キッチンに立っていても、リビングや中庭、各部屋の様子も眺めることができます。このように、家がひとつの大きな空間であることが実感できる間取りといえます。
<その5>
来客用と家族用の動線を分ける
回遊動線の考え方で、もうひとつぜひ検討してほしいのが、来客用の動線と家族用の動線を分けることです。この動線がうまく分かれていると、オンとオフのメリハリが効いた暮らしが実現でき、来客時であっても、ほかの家族のプライバシーが保たれて快適に過ごすことができます。もし、来客が多いご家庭であったり、自宅で仕事をしている家族などがいる場合は、そのようにオンとオフでしっかり区切られた間取りにするのはおすすめです。
たとえばこちらのお宅は、一階に寝室やワークスペースなど、プライベートな個室が一箇所にまとまっています。しかし、来客は玄関からそのまま二階に上がる動線になっているので、プライベートな空間を通らずに、リビングへ行くことができるのです。
<その6>
朝は混雑しがちな洗面所は、ゆとりのある間取りに
朝、家の中でもっとも混み合う空間が、洗面所。家族の人数が多い場合は、毎日洗面所が渋滞してしまう…という話もよく聞きますよね。新築時にそれがわかっていれば、あらかじめ、洗面所に余裕のある動線を作っておくのがいいでしょう。
たとえばこちらのお宅では、空間に余裕をもたせ、ワイドな鏡と2つの洗面ボウルを設置。右端にちょっとした空間を空けたことで、パウダースペースとして活用することもできます。
<その7>
玄関まわりを回遊できるようにする
一般的な玄関は、空間も限られてしまいますし、出入りするときは一方通行なことが多いでしょう。しかし、回遊性のある玄関スペースにすることで、活用方法の幅がグッと広がるのです。
こちらのお宅は、ワンフロアの半分以上を土間スペースにするという大胆な間取り。玄関から入って、すぐそばの上がり框で靴を脱いでもいいですし、土間をぐるりと回って、奥側で靴を脱ぐこともできます。現在はフリースペースになっていますが、将来的にはさまざまな使い方が考えられる間取りと言えます。
<その8>
収納内を回遊できるようにする
ぐるりと回遊できるようにするアイデアは、少し広めの収納でも。家族みんなで使えるファミリークローゼットなどは、回遊できる動線を考えながら作っておくと、より使いやすいものになるでしょう。
たとえばこちらのお宅では、誰がどう使うのか、何を収納するのかをあらかじめ考慮した上でプランニングされています。左右対称に収納を作り、家族の動線がぶつからないような工夫がされているのです。とくに朝の支度をする時間は、複数の家族で使う場合もあるので、このようにぶつかり合わない動線を考えておくことは大切です。
回遊動線は、行き止まりをなるべくなくすことで、行ったり来たりの無駄な動線を省くことができます。そして、回遊型にすることで動線が非常にコンパクトになり、それが家事の時短にもつながるのです。また、洗面所やクローゼット内など、複数の家族で使う空間の場合は、ぶつからないような動線を考えることも大切です。
動線を考える場合でも、まずは、その家に暮らす人のライフスタイルに合ったものであるかが重要です。建築士の方としっかり相談しながら、自分の家に一番合った動線を考えてみてください。
SUHACOでは、オープンハウスで実際に物件を見ていただけます。ぜひ、動線にも注目してみてください。