「施主支給」という言葉、あまり馴染みがないかもしれませんが、家づくりをする際には必ず耳にするワードかもしれません。とくに、注文住宅での家づくりであれば、細部にまでこだわりたいという方も多いもの。そんなときに、お気に入りの雰囲気にぴったりの設備を取り入れたり、その家らしいオリジナリティをプラスすることができるのが、施主自給でのアイテム選び なのです。
そこで、施主支給に取り入れやすいものはもちろん、避けた方がいいアイテムもあるので、事前に知っておくと安心です。ぜひ、細部までこだわった家づくりをして、自分たちらしい素敵な暮らしを実現してみましょう。
目次
家づくりにおける、施主支給とは?
施主支給とは、家を建てる際に、室内で使用する設備や、仕上げに使う材料などを施主が自ら購入して、それを施工会社などに取り付けてもらうこと をいいます。もしくは、自らで取り付けること を指します。
一般的には、家を建てる施工会社などが、室内に取り付ける設備機器や仕上げ材などを手配して、それを取り付けてもらうケースがほとんどです。その場合、施工会社で取り扱いができるアイテムは限られてしまうことが多いので、選択肢が狭まってしまうのが実情 でした。
そこで、自分たちで設備機器などを店舗やインターネットで探し、施主自らが直接購入して、それを施工時に一緒に取り付けてもらうことができる のです。
この施主支給が、最近の家づくりで注目 されています。とくに、注文住宅などでこだわりの家づくりを望まれている方々の中では、施主支給で設備機器を選ぶことはスタンダードになりつつあるともいえます。
その背景には、自分で家の内部をいじるDIYの人気が高まっていたり、より自分たちらしい家づくりやインテリアに興味のある人が増えている ことが挙げられるでしょう。また、InstagramやPinterest、YouTubeなどのSNSを通じて、家づくりやインテリアに関する情報が多く流れるようになり、施主支給に関しても手軽に情報を得ることができるようになった のも、その要因のひとつといえそうです。
施主支給にするメリットとデメリットとは
施主支給では、自分たちの好きなデザインのものを見つけてきて、それを家の設備として取り入れることができます。例えば、家づくりをする際に住宅系の雑誌を見ていて、「この設備が素敵だな」と思っても、施工会社などで取り付けられる限られた設備の中から理想に近いものを探すのは難しい場合も。そこで、自分たちで設備を探してきて、それを取り入れることができるのです。ヴィンテージやアンティークのもの、日本にはない外国製のものなど、よりこだわりのアイテムを取り入れることもできる でしょう。これが、施主支給の最大のメリットといえるでしょう。
もう一つのメリットは、コストを抑えることができる場合もあること です。施主が直接購入することで、中間マージンなど手数料が発生しないので、施主支給の方が費用が安く済むケースが多いのです。住宅系やインテリア雑誌を見たり、SNSなどの写真で、いろいろなアイテムを探す楽しさも得られます。
一方で、デメリットもあるので注意が必要です。
家を建てる設計事務所や施工会社などで取り扱いがないアイテムなども、相談すれば取り付けてくれるケースが最近は増えています。しかし、施主支給に対応してくれるのか、それを取り付けすることができるかどうかは、あらかじめ施工会社に相談しておく方が安心 です。施主支給では、そういった手間や労力がかかってしまうこと が、デメリットとも言えそうです。
また、施主支給の場合は、自分で探す手間と時間がかかります。こだわりすぎてしまうと、自分の理想に近いものを探すのにかなりの時間がかかってしまい、取り付けるタイミングに間に合わないということも。施主支給にすると決めたら、時間に余裕を持って探しはじめ、購入できるようにしておきましょう 。
また、製品の保証が効かないこともデメリットのひとつ 。施工会社を通じて購入したものであれば対応をしてくれる場合もありますが、自分で購入したものの中には、そのような対応をしてくれないケースも多いでしょう。施主支給の場合は、壊れても自分の責任と割り切って取り入れるしかありません。
サイズや素材などを間違って購入してしまうケースも あります。施工会社では、知識を豊富に持っている設計士やプランナーさんたちが、間取りにあったサイズや素材などを提案してくれます。しかし、施主支給でアイテムを選ぶ場合は、自分たちでしっかりと調べる必要があるので、それだけの労力や時間を費やす必要があることを覚えておきましょう。
住宅ローンに含めることができないケースも多いので、施主支給で購入する場合は、すべて現金になることがあります。細々したものであれば問題ないですが、大きな設備を買う場合には注意が必要です。
施主支給しやすいアイテムとは
施主支給として挙げられる設備機器には、さまざまなアイテムがあります。その中で、比較的、施主支給としてスタンダートであり、取り入れられやすいアイテムを紹介します。
<トイレットペーパーホルダー・タイル掛け>
トイレの空間は、小さいスペースだからこそ、その家らしい個性が出せる場所。とくに、トイレットペーパーホルダーやタイル掛けなどは、コンパクトであり、価格も手頃なので、施主支給で取り入れやすいアイテム といえます。
こちらのお宅のトイレには、造作のカウンターと洗面台が設置されているので、トイレ内でサッと手が洗えて便利。トイレットペーパーホルダーは、洗面ボウルが置いてある台の素材と統一感があります。照明もブラケットタイプにしていて、雰囲気のあるトイレ空間になっていますね。
<照明>
照明も、施主支給として取り入れやすいアイテムのひとつです。とくに、印象に残りやすいダイニングテーブル上のペンダントなどは、お気に入りのものを選びたいもの。ペンダントは、インテリアショップなどでも購入することができるので、お気に入りのものを探して取り入れてみるのがいいでしょう 。
ペンダントの傘などは、比較的自由に選ぶことができるので、アンティークのものやデザイン性の高いものを探してみるのもいいですね。
ただし、照明の施主支給では、少し注意が必要です。自分で購入してきた照明と、取り付け器具のサイズが合わないなどのトラブルが発生する可能性があります。そこで、照明関係のプランニングの段階で、施主支給したい照明がある場合は、事前にサイズや種類などを伝えるようにしましょう 。
後付けできるタイプの照明の場合は、施工会社に配線工事だけしておいてもらい、後から好きなものを取り付けることも可能です。
<鏡・洗面ボウル>
洗面所などで標準的に選べる鏡は、実用性や、飽きのこないデザインの方が受けいれやすいということもあり、シンプルなものが多いでしょう。もし、鏡に個性を出したいのであれば、施主支給で鏡を選ぶこともできます。
ただし、洗面所の鏡はサイズが大きいことが多いので、自分で購入したり運搬するのは難しいものです。もし、デザイン性の高い鏡を施主支給で取り入れたいのであれば、トイレ内の鏡や、玄関やリビング内に設置した小さいサイズの洗面スペースの鏡など、小さいサイズで取り入れてみるのがいいでしょう。
また、洗面ボウルも好きなもの施主支給することもできます。ただしこちらの場合も、サイズの大きなものだと扱いにくいことも。小さな洗面スペースの洗面ボウルに少し個性を出すなど、小さな設備の方が施主支給で取り入れやすいでしょう。
<室内物干しバー>
洗濯物を洗面所などに干しておくための室内物干しバーは、つい見逃してしまいがちなアイテムですが、取り付けておくと重宝します。ステンレスのシンプルなものを選ぶ方も多いですが、ちょっとこだわりたい人には、アイアン製の物干しバーが最近の人気。一般的な物干し竿っぽさがないので、インテリアとも自然と馴染みやすいでしょう。こちらも、ネットなどで購入しておき、取り付けを施工会社にお願いすることができます。
<ポスト・表札>
ポストや表札なども、その家の個性を出せるアイテム。種類も豊富にあるので、自分の好みに合ったものを探してみるのもおすすめです。玄関まわりや外構は、家づくりの工程の中でも後半の方になるので、家づくりがはじまってから探しはじめるのでもいいでしょう。
ただし、壁や建物に埋め込むタイプのポストの場合は、施工会社としっかり相談して決めるのがいいでしょう 。
<スイッチプレート>
より細部にまでこだわりたい方の中には、照明のオンオフをするスイッチプレートなどを施主支給にするケースも 。インテリアショップなどで購入することもできます。標準仕様のスイッチ類では、空間のイメージに合わないという場合は、好きな雰囲気のスイッチプレートを探してみるのもいいですね。
スイッチプレートの場合も、施工会社にあらかじめ、こんなアイテムを使いたいということを伝えておくと、のちのちトラブルになりにくいでしょう。
施主支給するということは、自分たちに合ったアイテムを、時間をかけて探す作業が出てきます。そうすることで、より新しい家への愛着が湧いたり、自分たちの暮らしについても真剣に考えるきっかけに なるでしょう
ただし、施主支給をするには、施工を担当してくれる会社としっかり相談をしながら進めることが重要 です。後から後悔しないように、どんなアイテムを使いたいのかを早い段階で確認&伝えておくのがいいですね。