防災を意識した家とは?災害に強い家づくりのコツと、間取りアイデア5選

2024年は、元旦に発生し甚大な被害をもたらした能登半島地震からはじまり、この夏には日向灘を震源としたマグニチュード7.1の地震、そして猛烈な暑さに迷走台風、ゲリラ豪雨など、日本各地がさまざまな自然災害に見舞われました。被害の様子を目の当たりにした今だからこそ、災害に対する備えの大切さを実感している方も多いのではないでしょうか

ぜひ、これをきっかけに考えたいのが、防災を意識した家づくりです。これから家を建てることを検討しているのであれば、災害に強く、家族を守ってくれる家づくりを意識してみましょう。そこで今回は、災害に強い家づくりのコツや、実際に災害に遭った際に活用できる間取りのアイデアをご紹介します。

 

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知っておきたい、災害に強い家づくりをすることの重要性とは

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ここ近年で、地震や台風、暴風雨などによる自然災害が増え、その災害の規模も年々大きくなっていると感じることはありませんか?災害の規模や範囲が以前よりも大きく、そして激しくなることを「激甚化(げきじんか)」と呼びますが、この言葉がここ数年、メディアなどを中心に盛んに使われているのです。

地震に関しては、今後30年以内に南海トラフ地震(M8~9クラス)が発生する確率は70~80%、首都直下地震(M7クラス)が発生する確率は70%程度と予測されています。実際に、8月8日に発生した日向灘を震源としたマグニチュード7.1の地震は、この地域の震源が想定南海トラフ震源域の西端に位置していることもあり、南海トラフ地震との関連性も心配されています。

また、大雨の年間発生回数は年々増加しており、より強度の強い雨ほど増加率が大きくなっています。(※)この夏にも、急なゲリラ豪雨などの被害が多発し、各地で停電なども発生しました。

このように、実際に地震や台風などの被害を受けたり、もしくはニュースなどで被害の様子を知ることで、私たちの自然災害への備えも高まっているといえます。

私たち一人一人にできることは限られていますが、まずは、自分のこと、そして自分の家族を守ることがもっとも大切です。そのためには、地震や自然災害から強い建物について知り、災害時にも困らないような家づくりを目指しましょう

(※)
気象庁ホームページ「大雨や猛暑日など(極端現象)のこれまでの変化」より
https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/extreme/extreme_p.html

 

自然災害に強い家づくりのための3つのコツ

災害に強い家を建てるためには、事前に知っておくべきポイントがあります。土地探しや家づくりを依頼する際の参考にしてみてください。

 

<災害に強い家づくりのコツ その①>
検討している土地の災害リスクを確認する

これから土地を探して家を建てる場合や、現在検討している土地がある場合は、その場所の災害リスクについて知ることが大切です。自然災害は、いつどこで起こるのかは誰にも分かりませんが、少しでもリスクの低い土地を選ぶことはできます。

市町村が公表しているハザードマップなどを確認することで、その土地にどの程度の災害リスクがあるのかを知ることができます。ウェブ上のハザードマップを確認すると、そのエリアの想定される震度分布や被害の分布、津波・洪水・高潮などの浸水深の予測を見ることができます

また、実際にその土地に足を運んでみて、周囲に比べて低くなっていないか、強い雨の後などに雨水が溜まってはいないかなどをチェックしてみるのがおすすめです。

さまざまなリスクを知ったうえで、その土地を検討することは、地震や洪水などに備えての対策をした家づくりができるという意味合いでも、知っておくことはとても重要なことです。

 

<災害に強い家づくりのコツ その②>
地震に強い構造の家を選ぶ

災害リスクを確認したうえで、家を建てる土地が決まったら、次は地震や災害に強い家の構造を検討することが重要です。建築基準法では、耐震性に対する基準が定められてはいますが、依頼する住宅メーカーや設計事務所、工務店によって、採用する構造や強さは違ってきます

まずは、デザイン性などどんな家を建てたいか、ご自身やご家族の希望が叶えられる住宅メーカーや設計事務所などを探したうえで、地震に強い構造などを採用しているのかをきちんと確認します。

 

【耐震構造】

耐震構造とは、柱や梁など建物の構造自体の強度を高めて丈夫にすることで、地震の揺れに耐えられるようにする構造のこと。柱と柱の間に筋交いを施したり、部材の接合部を金具で補強して強度を高める、耐力壁を効率よく配置するなどで耐震性を高めています。

制震構造と免震構造に比べると、耐震構造は比較的低コストで建てることができるので、一般住宅ではこの耐震構造で設計されることが多いです。

たとえばSUHACOの家は、「SE構法」と呼ばれる耐震構造を採用しています。SE構法は、強度や品質に優れた集成材を、丈夫な「SE金物」で接合して、柱と梁で建物を支えるラーメン構造を木造建築で実現しています。鉄骨造や鉄筋コンクリート造では主流だった「ラーメン工法」を、日本人に馴染みのある木の家で実現して、そこに必要な耐震性を加えた手法です。

SE金物
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【制震構造】

制震構造とは、耐震構造に加えて組み込んだ制振装置が地震のエネルギーを吸収し、建物の揺れを吸収する構造のことを指します。壁の内部にダンパー(振動軽減装置)などの装置が設置されることで、地震の揺れを抑制することができるのです。

このように、揺れを軽減させる装置は、これまでタワーマンションや超高層ビルなどで採用されてきた技術でしたが、最近では一般の住宅でも地震対策として用いられるようになってきました。

 

【免震構造】

免震構造は、基礎と建物の間に免震装置が組み込まれていて、これが地震の揺れを吸収します。建物にダメージが直接伝わらないように設計されている構造のことです。そのため、地震が来てもあまり大きな揺れを感じることがなくなります。耐震構造や制震構造と比べコストは上がりますが、地震の揺れに対しては高い効果を発揮します。

 

<災害に強い家づくりのコツ その③>
シンプルな建物の形にこそ、強さがある

 

外観の家
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強い地盤の土地に、しっかりした構造の家を建てることで、地震に強い家に近づきました。さらに、家のプランニングをする段階でも、より、地震に強い家にすることができるのです。

それは、建物の形状です。長方形や正方形など、建物の形がシンプルであればあるほど、地震に強くなります。また、1階と2階が同じ面積の「総二階」と呼ばれる建物も、地震に強いと言われています。一方で、複雑な形や凸凹が多い形状の建物にしてしまうと、地震に弱い建物になってしまいます。

シンプルな形状で高さもないということで、平屋の家は地震に強い形です。平屋の家は、高さがないことで、風の抵抗も受けにくく、強い風にも強いと言われています。一方で、浸水被害などのリスクがある土地の場合は、「垂直避難」ができるように2階がある方が安心です。

 

災害発生時に備えて、間取りのアイデア5選

防災のためのできることは、土地や構造の選び方だけではありません。間取りや設備などでも工夫することができるのです。具体的な、間取りのアイデアをご紹介します。

 

<防災に備えた間取りアイデア その①>
玄関近くに、持ち出し強いやすい備蓄スペースを確保

玄関
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玄関脇、もしくは玄関の土間スペースなどに、すぐに持ち出しできると便利な防災グッズを収納しておくと安心です。家族の人数分のヘルメットや、すぐに必要になる防災アイテム、家族分の3日分程度の災害用食料、お子さんが避難時に必要なアイテムなどを、1つのリュックにまとめておき、避難時にサッと取り出せるような場所に置いておくのがおすすめです。

またキャンプグッズは、災害時の防災グッズとしても便利に使えるアイテムがたくさんあります。たとえば、LEDランタンやウォータータンク、クーラーボックスなどは、普段はキャンプのシーンで使いつつ、いざというときは防災グッズにも。普段から使い慣れておくと、電池切れなどに気づきやすいですし、使い方がよくわからない…ということもありません。

これらの防災グッズは、定位置を決めておき、家族内でシェアしておくことも重要です。たとえば、シューズクロークの一部などを防災グッズの定位置としてみんなで認識しておけば、いざというときに誰かが持ち出すことができます。

 

玄関
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また、玄関先にコートなど上着をかけておけるスペースがあるのも便利。冬場で大きな災害が起きたときに、家族分の上着が玄関にあると、サッと羽織って外に避難することができます。

さらに、普段から玄関が靴でごちゃごちゃしていると、家から外へ避難が必要なときに、つまづいて怪我をしてしまったり、避難がスムーズにできないことも考えられます。それを避けるためにも、玄関はスッキリさせておくことは、災害に強い家と言えます

 

<防災に備えた間取りアイデア その②>
備蓄品もたっぷり収納できるロフトスペース

ロフト
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玄関先の防災グッズ置き場には、持ち出し用として最低でも1日分、余裕があれば3日分程度の防災グッズを置いておく安心です。しかし、それ以上の日数分の備蓄品などは、場所も取ってしまうので、家の別の場所に保管しておきましょう。

そこで、家にストックしておきたい長期間保存できる水や災害用のトイレ、大容量のクーラーボックス、カセットボンベなどの大きな備蓄品などは、ロフトスペースや屋根裏収納など大きめの収納スペースに保管しておくのがおすすめです。

 

<防災に備えた間取りアイデア その③>
ローリングストックの保管に最適なパントリー

パントリー
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食料品や水など、災害時にも利用できる備蓄食品は、普段の食品を少し多めに買って、古い食品から日常的に使っていくローリングストックをすることで、期限切れで無駄にしてしまうこともなくなります。ローリングストックの食品を備蓄する場所には、キッチン横のパントリーがおすすめです。

キッチンのすぐ横にあることで、日常的に食品を消費することができますし、買い物をして帰ってきた後も、冷蔵庫とパントリーで仕分けしやすいのもポイントです。

 

<防災に備えた間取りアイデア その④>
地震があっても倒れないように、本棚や収納棚は造作に

棚のある個室
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地震発生時に心配なのが、家具が倒れてきたり、物が落ちてくる危険性です。家具に突っ張り棒などの転倒防止アイテムを使うこともできますが、収納棚や本棚など背の高い家具などを造り付けにすることで、家具が倒れてくるのをしっかり防ぐことができます

また、寝室のベッド周辺に設置する収納棚などは、就寝時に物が落ちてきて怪我をする危険性もあります。場所によってはオープン棚にせずに、地震発生時でも開きにくい引き戸タイプにするなど、デザインでも工夫をすることができます。

 

<防災に備えた間取りアイデア その⑤>
垂直避難時にも使える、2階のフリースペース

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津波や台風、豪雨などによる浸水が大きくなると、外に出ることさえ困難になります。そのようなときは、屋内の2階以上の場所に避難する「垂直避難」が推奨されています。その際に、2階にフレキシブルに使えるフリースペースがあると、家族みんなの避難場所としても使うことができます。夜に浸水の心配がある場合は、2階のフリースペースで眠ることもできて重宝します。

 

災害に強い“箱”が作れたら、今度は、暮らしていく中で必要な設備を加えていき、さらに災害に強い家を作っていきましょう。たとえば、停電時に自家発電を利用できるような設備や自動点灯する保安灯、災害時でも飲料水が確保できる貯水タンクなど。これらは新築時でなくても、必要に感じたときに設備をプラスしていくことができます。

そのためにもまずは、災害時に強い家づくりについて知っておき、ご自身の家づくりの選択肢として参考にしてみてください。

 

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